日常

いんやく りお「自分をえらんで生まれてきたよ」

2013-05-21 21:26:51 | 
いんやくりお君の「自分をえらんで生まれてきたよ」サンマーク出版 (2012/5/23)を読了。感動。
分厚い哲学書以上の深い内容が込められていると感じた。

--------------------------------------------------------------------------------
<内容紹介>
【マスコミに紹介され大反響! 】
著者のいんやくりおくんは、生まれつき心臓と肺に重い疾患を抱え、これまで30回以上、のべ2年もの入院を繰り返してきました。

そんなりおくんが、まだ舌たらずだった3歳の頃から語り始めた、生まれる前のこと、生きるということ、いのちのふしぎ……。それらの言葉をお母さんが書きとめ、まとめたのが本書です。

ぼくは自分の人生をえらんで生まれてきた、とりおくんはいいます。
この世に生まれ、生きていることのすばらしさ、人と人とのあたたかい営み、いのちと心の不思議、人のあるべき姿……。りおくんの言葉はいきいきと躍動し、現代に生きる私たちに何か大切なものを思い出させてくれます。

『女性自身』の特集で取り上げられたことをきっかけに、雑誌、ラジオなどマスコミで大きな反響をいただき、読者の方々からも次のような感謝、感動、感涙のお便りを多数いただいています。

「3歳と5歳の娘がいますが、娘たちが生まれてきたことを、あらためて、うれしく感じました」(31歳・男性・会社員)
「書店で立ち読みしているときから購入して読み終えるまでずっと泣きっぱなしでした」(28歳・主婦)
「りお君の言葉で心の淀みに澄んだ流れが生まれた気がします。自分が今生きている幸せをかみしめてどんな時でもハッピーと言おう。そう自分に言い続けています」(40歳・女性・会社員)

刊行から半年で13万部を突破した話題の書。ページをめくるたびに、きっと心が透明に、清らかになっていくのを感じることでしょう。
--------------------------------------------------------------------------------


生まれつきの心臓病を持ち、入退院を繰り返した子供が語った言葉です。あまりにも深いです。シンプル。
****************
レオナルド・ダ・ヴィンチ
『シンプルさは究極の洗練である。』
****************

というのが身に沁みます。



2013年1月10日(2013-01-10)というところでも書いたけれど、自分も、実は大病をしている。
死んでもいいような状態から復活して、今では激しい登山をするほど健康優良児として生きている。
病は、人間を成長させる。


この本は、とても深い。シンプルな中に、百万言を尽くしても語れない真理がある。

子どもは、自分で自分の親を選んで生まれてくる。
「この親が、自分の成長にとって最適だ!」と、前世で果たせなかった課題をクリアするために生まれる家族を選択する。

基本は、その家族を幸せにすることが目的。
でも、その記憶はほんのりとしか残されないので、たいていは与えられた苦難や困難な課題を乗り越えられないことも多く、与えられた贅沢な生活は謳歌し消費するだけで終わってしまうケースもあるようだ。

ただ、ほんとうはすべて自分が決めている。
「自由意思」というものは、神さまが僕ら人間に与えてくれた最大の贈り物であり、最大の謎だ、と自分は思う。


メーテルリンクも「青い鳥」の中でそんな赤ん坊の生まれる前の世界をさりげなく書いている。
(→メーテルリンク「青い鳥」(2009-10-30))


***********
(未来の国にて)
空色の宮殿の中にいくつもの大広間があります。
ここには、これから生まれる子どもたちが待っています。
トルコ石の丸天井、サファイアの円柱、明かりやラピスラズリの敷石、すべてが現実はなれした青い色をしています。

どの広場にも空色の長い服を着た子どもたちがいます。
子どもたちは、遊んだり、おしゃべりしたり、散歩したりしています。
中には、未来の発明をしている子もいます。
子どもたちの間を、半透明の空色の天使のような人たちが静かに行き来しています。


チルチル:ぼくたち、どこにいるの?

光:未来の国です。まだ生まれない子どもたちのいるところです。帽子のダイヤモンドのおかげで、はっきり見えるでしょ。たぶん青い鳥もここで見つかりますよ。

チルチル:ここでは、何もかも青いから、鳥だって青いだろうな。ほんとに、なんてきれいなんだろう!

青い子どもたち:生きてる子どもたちだ!みんな、来てごらん、生きてる子どもたちだよ!

チルチル:どうして、「生きてる子ども」って言うの?

光:あの子たちが、まだ生きてる子どもじゃないからでしょう。生まれる時を待っているのです。

チルチル:生まれる時?

光:そう、地上に生まれてくる子どもたちは、ここから出て行くんですよ。一人一人が、自分の生まれる日を待っています。お父さんとお母さんが、子どもを欲しいと思うと、さっき右に見えた大きなとびらが開いて、子どもたちが降りていきます。
***********




メーテルリンクが「青い鳥」で書かれていること、いんやくりお君が「自分をえらんで生まれてきたよ」で書かれていること。
僕らはそろそろ、こういう話を真面目に考えるべき時代に来ていると思う。


手塚治虫の「0次元の丘」という漫画にも、そういう話があった。
手塚治虫「はるかなる星 手塚治虫名作集 (5)」(集英社文庫)に収録)

・・・・・・・・
利男は「トゥオネラの白鳥」を聞くたびに涙していた。
さらに白い壁の家と枯れた木が心に浮かぶという。
母親に昔住んでいた家の事を聞いてもそんな風景はないという。
同じ「トゥオネラの白鳥」でもベルヌ(山浦博士)の指揮したもの以外には彼は反応しない。

世界中で利男と同じ年の子ども5人が同じ事を言っているという。
ある時、脳波計を付けて調査をすると、利男は別人格になりベトナムのリエンタ村が自分の家だと言い出す。
5人の子どもと指揮者ベルヌは、ベトナムのリエンタ村に行く。

ベルヌによると彼は「トゥオネラの白鳥」がどうしてもうまく指揮できず、一度自殺を図ったという。
その時、無意識の中で「ある丘」にたどり着き、そこから落ちないようにして蘇生したのだった。
その後に指揮したレコードに利男たちは過剰反応していたのだった。

彼らが村に着くと確かに白い壁と枯れた木があった。
不意に子供たちは銃を奪い、立てこもってしまう。
彼らはここで虐殺された村人の輪廻の姿だったのだ。
何とか元に戻すため、銃を空に向かって連射した。 前の時代で殺された場面を再現したのだ。
彼らは元に戻った。
前の記憶は全くないという。
残っているのは丘のようなもの(0次元の丘)だけだった。
・・・・・・・・






自分も、病院で働いていて、こういう前世の話を子供から直接聞くことがある。
胎児の時の話や、生まれてくる前のことを覚えている子は多い。
ただ、社会がそういう子を「頭がおかしい。変な子だ。」と強烈なレッテルを張るから、抑圧して記憶のドアに鍵をかけているだけ。

臨死体験の話も同じようなもの。
真面目に臨床をして、熱心に患者と話をする人間は、そういうことがあると知っている。
ただ、「自分はそんなこと聞いたこともない」と過剰に否定する人もいる。

実は、それは相手から選別されているだけ。
「この人に話を聞いてもまともに聞いてくれないだろうな。」という人には、そういう真実は話されない。
だから、そういうことはないことになる。それは、その人の固定観念が作り出して願った現実でもある。


心を開いていると、子供はそういう真実の話を当たり前のようにしてくれるし、お年寄りもそういう真実の話を当たり前のようにしてくれる。


心を開いているかどうか。
これは秘密の通路を通る時の通行手形のようなもの。
自分が閉じていれば、世界は閉じていく。
自分が開かれれば、世界は開かれる。



この前も、在宅医療で往診をしている患者さんが夢に出てきた。暗闇の宇宙空間のような虚空の場所から「ありがとう」と自分に言った。
自分は握手しようとした。でも、その虚空の場所が遠く、向こう側にいけない。おかしいな、と思った。
自分は胸騒ぎがして、夜中に起きた。自分なりにそのイメージが意味していることを納得し、また眠った。

翌朝、その患者さんのご家族から電話がかかり、「昨晩午前3時に亡くなりました。最後に先生のこと、うわごとで言ってましたよ。本当にありがとうございました。」と言われた。

夢や無意識は、そういう風に時空を超えた通路になっている。0次元の丘のようなもの。
だからこそ、人間は小説や絵画や芸術や映画や舞踊や音楽を必要とするのだ。
そこが、生と死と、夢と現実と、虚と実とを、異質なものをつなぐ矛盾に満ちた折り目。秘密の通路。

そして、そこは常に万人に開かれた場所だけれど、こちら側が心を開かないと見えないようなカラクリが、ご丁寧にもほどこされている。






いんやく りお「自分をえらんで生まれてきたよ」より


○「こころ」に関して


==========================
ぼくのいうことが、絶対に正しいというわけじゃない。
心のことは、いろいろな人が、いろいろなことをいうからね。

信じることによって、ふしぎはおきる。
だから、ふしぎを信じてね。
==========================





○「病」に関して

==========================
病気で生まれてきたから、僕はいろいろな体験ができる。
ママもいろいろな体験ができる。
だから、ママは喜んでいいよ。
==========================
ぼくが病気で生まれたのは、
ずっとずっと、幸せになるためだよ。

ぼくが赤ちゃんの時、いっぱいに泣いたのは、
赤ちゃんは言葉をしゃべれないから、

神さまに「もっと大きくなりたい。お兄ちゃんになりたい。」
っていう、お祈りだったの。

それで神さまが、お願いを聞いてくれたから、
ぼくはこんなに大きくなったんだよ。

だから、ぼくが泣いても、
ママは「かわいそう」って、思わなくてよかったんだよ。
==========================
病気になる理由は、人によってそれぞれ。

でも、ぼくのいまいえる言葉は、
病気は、体を、じょうぶにするためにある、ということ。

病気をすると、新しいことが入って、古いものは飛んでいく。

あまり悪い病気だと、治療がたいへんかもしれないけど、
大きなことを学んでいるのだと思う。
==========================



○「かみさま」に関して

==========================
生まれる前、ぼくは、
「幸せの太陽」を、運ぶ仕事をしていた。
神様に頼まれて、「はいはい」って、たくさん働いた。
だから、こんなに元気なんだ。

病気の時もあるけれど、病気の時も元気なんだよ。
いっぱい、仕事したからね。

「幸せの太陽」や、「幸せの月」や、「幸せの星」を、
ママや、パパや、おとなみんなに運んでいた。
赤ちゃんは、みんなそうだよ。
==========================
どうして人は、勝手に生きるのだろう。

本当は、心の中にいる神さまの、
いうとおりにするのがいいのだと思う。

勝手にするというのは、戦争をするということだ。

そういう人は、心の中にいる神さまの電源が、
オフになっているんだね。
==========================
神さまには、悩みがある。

神さまは、人間の相談に答えているのに、
わかってもらえない。

心の耳が閉じているから、
答えても聞いてもらえない。

どうやったら聞いてもらえるか、
神さまは、困っている。
==========================
心は、神さまのかけらで、
体は、地球のかけらだよ。
==========================




○「生まれる前」に関して

==========================
ぼくは、本当は、
ほかの子どもたちが来るまで、
待たなくちゃいけなかったのに、
待ちきれなくて、生まれたんだよ。

だから、ぼくは、未来から来た。
==========================
人間は、生まれるとき、
いろいろなことを忘れてしまう。

でも、忘れることもだいじ。
新しいこと、違うことを習えるから。

でも、いっぺんに忘れると、たいへん。
図書館の本を返すみたいに、
少しずつ忘れることが、たいせつ。
==========================



○「生」に関して

==========================
生きているというのは、
大きな奇跡。

みんな、だれでも、
たましいはある。

たましいは死なない。

だからこそ、ぼくたちは、
喜びで大きく生き残れる。


体が動くから、
生きているんじゃない。

たましいがあるから、生きている。

たましいは、電池なんだよ。
神さまの電池で、
神さまに「返して」といわれたら、返す。


だいじなことを忘れると、人は死ぬ。
そして天国に行って、いのちを運ぶ力をもらう。

天国や地獄でも、人は死ぬ。

でも、どんどん死ぬのは、たいせつなこと。

なぜかというと、死ぬと心の殻が破けて、
心がもっと大きくなるから。

だから、生まれてくるっていうのは、幸せなんだよ。
==========================

人は必ず、喜びをもっている。

たとえば、生きる喜び。悲しめる喜び。

じつは、悲しめるというのは、
幸せなことなんだよ。

いろいろな気持ちは、ぜんぶ幸せなんだ。

悲しめる喜びというのは、
悲しんだ後、またハッピーになるでしょ。

そのハッピーは、前のハッピーより、
もっと大きいハッピーになる。

だから、悲しみって、たいせつなんだよ。
==========================






読んでいて、素直に感動しました。
長くとも短い人生、短くとも長い人生。学ぶこと多いです。
「心の中にいる神さまの電源」をオンにし続けていたいものです。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鈴木 千里)
2013-06-02 22:54:29
先日、購入しました。
まだ読んでません。あしからず。
返信する
Unknown (いなば)
2013-06-04 07:38:41
ほんとうにとてもいい本ですよ。
薄いのですぐに読めますが、何度も読み返してしまう、ほんとうに味わい深い本です。子供は哲学者だなぁと思いますね。
返信する
Unknown (さ。)
2013-06-12 06:48:43
この本は、涙涙・・・涙なくして語れまい。
なんというか、透明でやわらかでやさしい光だね。
かなり癒されました。最後のおかあさまの言葉にも涙・・・。わたし、涙もろすぎるけど。
じーんとしました。
プレゼントにもいいなーと思った^^。

返信する
数億年のいのち (いなば)
2013-06-13 09:36:09
>>さ。さん
この本、いい本ですよねー。
人間の心、というのはなんと深いのだろうと思います。

年をとれば「こころ」は成長していくような気がしていますが、必ずしもそうではなく、色々なものを得ると同時に失い、そして再獲得していくのかな、と思いました。
赤ん坊のときの森羅万象と共鳴している「こころ」を忘れないように、と思う日々です。

病院で先天性の病気を持つお子さんと接することも多いですが、こういう本を読むと、自分が年上だから、、、とか偉そうな目線で見れなくなりますね。

この世の年齢で言えば5歳くらいでも、あの世の年齢でいえば輪廻を繰り返して数億歳かもしれず、自分より遥かに精神的成熟が上のお師匠さんのこともあるのかな、と夢想しています。



疲れたりしているときは、活字って情報量多すぎて頭に入ってこないから、この本はそういうときのプレゼントにいいかもね。

かんたんな言葉で真理をずばりついてるから。まさに詩人ですよね。

気に入ってもらえてうれしいです。(^^ 是非周りにも薦めて下さい!
返信する