日常

ミッチ・アルボム『モリー先生との火曜日』

2013-05-16 21:56:25 | 
ミッチ・アルボム(著),別宮貞徳(訳)「普及版 モリー先生との火曜」NHK出版; 普及版 (2004/11/21)

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<商品説明>
「ミッチ、私は死にかけているんだよ」
16年ぶりに再会した恩師、モリー・シュワルツ教授はALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。
忍び寄る死の影。「あと4か月か5か月かな」。
だが、その顔には昔と変わらぬ笑顔があった。
「この病気のおかげでいちばん教えられていることとは何か、教えてやろうか?」
そして、老教授の生涯最後の授業が始まった――。


本書は、スポーツコラムニストとして活躍する著者ミッチ・アルボムとモリー教授が死の床で行った「ふたりだけの授業」の記録である。
テーマは「人生の意味」について。
愛、仕事、社会、家族、老いの恐怖、許し、そして死。
毎週火曜日、飛行機に乗って700マイルも離れた恩師を自宅に見舞い、静かに対話を紡ぐ。
売れっ子コラムニストとして多忙な日々を送る著者は、最初から「いい生徒」だったわけではない。
彼の生きがいは仕事。時間に追われながら、何よりも立ち止まることを恐れるミッチ。
そんなミッチも、死と対峙しながら最後の日々を心豊かに生きるモリーとの会話の中で、仕事よりも大事なことに気づいていく。


授業を重ねるたび、ミッチの心は揺らぎ、モリーの体は蝕まれていく。その様子が手にとるように伝わってくる。
「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる」と、モリー。
「人生に意味を与えられる道は、人を愛すること、自分の周囲の社会のために尽くすこと、自分に目的と意味を与えてくれるものを創り出すこと」


発行以来、全米で40週以上ベストセラーの座に君臨。このエッセイ仕立ての講義録には読者の心を揺さぶる「宿題」が、たくさん詰まっている。
(嶋田あひる)
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関連図書
○Mitch Albom(著)「モリー先生との火曜日 - Tuesdays with Morrie【講談社英語文庫】」講談社インターナショナル (2005/7/7)


○Morris Schwartz(原著),松田銑(訳)「モリー先生の最終講義―「死ぬこと・生きること」」飛鳥新社 (1998/11)





DVDも見たい!
○ジャック・レモン (出演), ハンク・アザリア (出演), ミック・ジャクソン (監督)「モリー先生との火曜日」




本書より
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「死ぬっていうのはね、悲しいことの一つにすぎないんだよ。
不幸な生き方をするのはまた別のことだ。ここへ来る人の中には不幸な人がずいぶんいる」
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「(死ぬ準備は)仏教徒みたいにやればいい。毎日小鳥を肩に止まらせ、こう質問させるんだ。
『今日がその日か? 用意はいいか? するべきことをすべてやっているか? なりたいと思う人間になっているか?』
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「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる」
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「こんなに物質的なものに取り囲まれているけれども、満たされることがない。
愛する人たちとのつながり、自分を取り巻く世界、こういうものをわれわれはあたりまえと思って改めて意識しない」
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「みんな死のことでこんなに大騒ぎするのは、自分を自然の一部とは思っていないからだよ。
人間だから自然より上だと思っている。
……そうじゃないよね。生まれるものはみんな死ぬんだ」。
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「人間は、お互いに愛し合えるかぎり、またその愛し合った気持ちをおぼえているかぎり、死んでもほんとうに行ってしまうことはない。
つくり出した愛はすべてそのまま残っている。思い出はすべてそのまま残っている。死んでも生きつづけるんだ――
この世にいる間にふれた人、育てた人すべての心の中に」
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こういう本を読むと、人間は「愛」「あい」とは何ぞや?ということを学ぶために、この世に生を受けているのかなぁ、とさえ思います。
その本質は、百万言を語りつくしても言語では語れないもので、最終的には自分個人の体験として、全身の細胞が啓示を受けるように体験しないといけないものなのかもしれません・・・。
病や死はそういう啓示を与えるきっかけになります。
医学の臨床に日々接していると、「自分の」病や死からは勿論ですが、「他者の」病や死を通してでも僕らは学べるように思えます。
他者の死は、「私(自己:Self)」の何かの死も意味している。
他者を「私」と分離するよりも、他者と「私」を統合した全体(integrity, wholeness)として見る方が、「私」は広く大きく豊かで、多様になる。
それは星を星単独で見るのではなく、星座として見ること。
星座を星座単独として見るのではなく、星座の背後に広がる宇宙全体を見ること、と似ている。
複雑さは、極限まで通り抜けていくと、単純になる。





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ティク・ナット・ハン「禅への鍵」(2012-12-23)
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教外別伝(経典以外に別に伝えられるものであり)
不立文字(言葉や文字に頼らず)
直指人心(人の心を直接に指し示して)
見性成仏(自己の本性を徹見して、仏になる)
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