日常

熊田千佳慕さん

2010-11-24 00:18:37 | 映画
NHKの日曜美術館は、毎週楽しみに見ている。

11/21日曜朝の「私は虫である 画家・熊田千佳慕の世界」
素晴らしい番組だった。

自分の中で、テレビ年間ベスト5に入る気がする。
あのつつましく素朴な生き方に深く感動した。大尊敬。  

戦争の影を背負って描き続けたとか(戦前はグラフィックデザイナーとして活躍されていて、それが戦争を美化して戦争に加担していたのではないかと責任を感じられていた)、いつものように絵を描きながら眠るように亡くなったということも知って、すごく好きになった。

本屋に行って、「熊田千佳慕の言葉 -私は虫である」(求龍堂)「みつばちマーヤの冒険」(小学館)を買った。素晴らしい絵本だ。まさしく「たましい」が入っている。
 

その中にいろんな言葉があって、ひとことひとことが、宝石のよう。
それは、目的もなく、とめどなく溢れる言葉だ。僕はそれを必死にすくった。

コトバと行動が一致している方だと思った。
行為はコトバとなり、コトバは行為になっている。
そこを深い場所でつないでいるのが、絵なのだろう。



98歳まで描き続け、描き続けたままの状態で、生から別の次元へと移動した存在。
僕らが置いてけぼりにされたように、自然に違う場所へ移動した。

生が、こういう日々の営みや行為とつながっていること。
最近ブログに書いたことと、なぜかつながる。不思議なものだ。
『「生きる」営み』(2010-11-22)


一枚の絵に数年をかける。じっくり、じっくり。
自分が虫になって、絵や虫や自然・・・・そんなコスモロジーの中に入って。




ちなみに、来週11/28のNHK日曜美術館、朝は「ゴッホ誕生」(これはこれで楽しみ)だけど、夜が熊田千佳慕さんの再放送なので、見逃した方はあの生き様を是非見てほしい。
「生き様」っていうのはいい言葉だ。自分も「生き様」で何かを伝えるようになりたいな。


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「熊田千佳慕の言葉 -私は虫である」
『僕にとって、絵を描くということは、神様に与えられた道を歩き続けること。すなわち、生きることにほかなりません。お金云々は二の次の話。』
『私は虫である。 虫は私である。自然は私のためにあり 私は自然のためにある。自然の中の自己が漸くわかりかけてきた。』
『人間も虫や花と同じ生き物としての仲間です。命の重さも同じです。人々がそのことに気づいてくれたら、もっと素敵な世の中になるのではないでしょうか。微力ながらそんな思いも抱きながら、私は絵を描いています。』
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