観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

公文書考(加計学園編・歴史戦)

2018-03-20 20:56:30 | 政策関連メモ
ついで加計学園を考察してみます。加計学園問題は基本公文書の問題ではないと思いますが、安倍政権が厳しい批判をいただいた問題ですし、これを題材に公文書を考えるのも無駄ではないんだろうと思います。

加計学園問題とは結局のところ、政策の決定過程の問題です。例えば、国家戦略特区諮問会議で行われた議論が保存されることが重要ではないでしょうか?記録が後世に残るという意識が安倍政権に強くあれば、誤解を招くような動きは無かったのかもしれません。また、後で政策がどのように議論され決定されたか検証できるようにしておけば、後世の役に立つと考えられます。この辺は電子データで保存するなら、フォーマットの変更にあわせて移しかえなければなりませんし、紙なら、長期保存がきく紙を最初から使用しておくのが良いだろうと考えます。

後で政策決定過程を検証可能にするという意味では、議事録をつくるつくらないの問題も重要です(公文書等の管理に関する法律第4条 Wikibooks)。東日本大震災ではろくに議事録がつくられませんでした(震災10会議で議事録なし ずさんな文書管理 日経新聞 2012/1/27)。意図したかしなかったかそれは定かではありませんが、これで管政権の震災対応を公正に検証する機会が失われた訳で、非常に残念なことだと思います。

こうした歴史資料として重要な公文書を歴史公文書といい、公文書等の管理に関する法律(e-gov)に規定があって、国立公文書館(東京本館は皇居の側、千代田区北の丸公園。つくば分館もあります)で保存されることになっています。岩盤規制を突破して獣医学部を新設したことも歴史的な出来事だったと筆者は思っています。

外国の例でいくと、台湾ですが、日本統治期(1895~1945)の資料は國史館台灣文獻館等で見られます(台湾の公文書(档案)を調べる(1)明清~日本統治期 国立国会図書館)。朝鮮総督府の資料も見られるようです(韓国所在の植民地期日本関係資料 ―デジタル化資料の利用方法を中心に―:アジア情報室通報 14巻1号 2016年4月 1日)。これで歴史に関しておかしなことを言うのですから、彼の国も不思議な国ですが、この辺はハードの問題というより、連中と議論するのが面倒くさいだけというソフトの問題なのかもしれません(国家記録院 日本語おかしい(笑))。いずれにせよ、客観的な日本統治の史料が存在することは日本にとってマイナスではないんだろうと筆者は思っています。

安倍首相、特別インタビューで語った北の脅威 慰安婦問題など「歴史戦」で考え方180度転換(zakzak 2018.1.4)

>日本人は元来、控えめな性格だ。いわれなき批判を受けても、『事実は必ず勝つ』『いずれ問題は通り過ぎる』という考え方できた。結果として、誹謗(ひぼう)中傷は続いている。安倍政権は考え方を180度転換した。私は海外公館に赴任する大使に必ず、『日本への誹謗中傷、事実の歪曲(わいきょく)には、大使自らが陣頭指揮を執り、戦略的に反論し、事実を訴えるように』と指示している。

「歴史戦」取材班で慰安婦問題などを取材した産経新聞の田北真樹子記者らと【新春2018年 安倍晋三首相と語る】も行いましたね。歴史戦を戦う上で史料がないとどうしようもないことは間違いありません。安倍首相に公文書管理で批判もあるのは承知していますが、考え方を変えて間もないところもあるんじゃないかなと思いますね。日本はこれまで歴史に関して何も言わず後手後手に回ったことは事実だと思いますが、この状況を変えようとしているのが安倍首相ではないかと筆者は思っています。秘密にすべき情報も勿論ありますが、安倍政権が残した文書もまた歴史資料になることも間違いありません。

公文書考(森友学園編)

2018-03-20 19:04:22 | 政策関連メモ
まず、森友学園問題を題材に公文書について考察します。

発端は国有地売却問題ですね。公有地ですが、国土交通省の4.公有地売却等手続きの流れを参照しました。

籠池氏が近畿財務局を恫喝した経緯は明らかだと思いますが、値引きが過ぎるとか何とかで結構話題になりましたよね。国有地は国民の財産なので、不当に安く売られたりしないことが大切な訳です。交渉記録なども含めて勿論情報公開に応じると共に、記録を一定期間保存し(例えば、背任罪の公訴時効が5年で、詐欺罪の公訴時効が7年ですから、詐欺師の余罪追及を考えると7年は保存する必要があると思います)、公文書管理法に罰則規定を設ければ、容易にこうした世論の不審を招くような事態は起こらなくなると考えられますし、仮に事件が起こっても速やかに問題は解決すると考えられます。

補助金の問題も同様です。結局のところ、国民のため国の財産は守られる必要があります。補助金の申請書や採点記録が残っていれば、情報公開にも対応できますし、仮に事件化しても証拠が残る訳で、そうすると犯罪に対する抑止力になります。やはり公文書管理法に罰則規定を設けることが重要ですね。

公文書を管理することが何故大切かと言いますと、ひとつには国の財産を国民のため守ることが考えられるのではないかと考えます。

特定秘密保護法や個人情報保護法には罰則規定がありますが、公文書管理法は画竜点睛を欠いているような気がします。何でもかんでも保存していると保管場所が幾らあっても足りないと考えられます。残すべき文書・残さないでいい文書の区別や保存期間、罰則の存在と軽重が重要かと思いますが、判断基準としては、想定される刑罰の重さにあわせるというのが一つの考え方なのかなと思いますね。これなら客観的かつ公平です。

公文書管理法は国立公文書館への移管規定がありますが、この辺の個別の案件は保存期間終了後、基本廃棄でいいのではないかと思います。申請した人とか研究者とかが保存した記録が残っていれば十分でしょう。実際のところ、公正な政策のために透明性があれば用は足りるのであって、そんなに記録を残して何になるか怪しい部類の公文書はあると思います。

保存期間がある程度決まっていれば、保存方法もそれほど拘る必要はありません。電子データだとフォーマットが変わる問題もありますし、保存に強い紙もありますが、その辺をあまり気にしなくていいのではないかということですね。




真犯人を追及する前に安倍政権がなすべきこと

2018-03-20 00:08:40 | 政局・政治情勢
安倍政権が疑われている理由は、結局のところ籠池氏に首相夫人の名前を使われたのが原因かもしれません。首相夫人が名誉校長になったのは事実なので、関与してないと主張するだけでは疑いが払拭できないということなのでしょう。存在しないことの物的証拠は存在しませんが、安倍首相夫人の関与が無いという状況証拠が周知されれば、自然に安倍首相の関与がないということも理解されます。多分、犯人探しはその次でしょう。自分も迂闊でしたが、強く支持していると(首相サイドの情報を入れると)、他人も自分と同じで安倍首相の関与は無いだろうという前提で考えていると思い込んでしまいます。

かと言って証人喚問に首相夫人が出たところで、野党にいいように印象操作されるだけです。ですから首相夫人が、例えば自民党ホームページにビデオメッセージをのせるとか、いずれかのマスコミで独占インタビューで説明するとか何らかの形で疑惑を払拭しにいくことが考えられます。あまりとってつけたような感じだと逆効果になる可能性もありますが、真摯に説明したら伝わるのではないかと思います。

そうすれば、批判的な報道しかしないマスコミも渦中の人物のメッセージは報じざるを得ないのではないかと思います。安倍首相が幾ら説明してもニュースバリューが無く、報道しない自由を行使され、支持層以外に伝わらない可能性があります(支持層に伝えることも重要ですが)。

首相夫人が名誉校長になったことは事実ですし、籠池氏は幼稚園の父兄の支持はそれなりにあったことも事実のようです。そこを忘れてはなりませんが、これまでに明らかになった事実を見る限りでは、首相夫人と籠池氏の仲はそもそもそれほど親密ではありません。また、幼稚園の園長に過ぎない籠池氏が無理に無理を重ねて小学校を建て巨額の負債を負ったということで、政治家サイドにキックバックする余裕は全く無かったのも事実のようです。ここのところが世間では理解されていないのではないでしょうか?それを改善するためには広報が必要ですね。

以下、多分世間は踏まえてない(左から右で忘れた)であろうネタをザックリ小川榮太郎氏の「徹底検証「森友・加計事件」」などから列挙。

①安倍晋三記念小学校にしたいと籠池氏に言われ断った。例えば吉田松陰先生の名前をつけたらどうですかと薦めた。結局、学校の名前は瑞穂の国記念小学院になった。

②講演を依頼された首相夫人は名誉校長を引き受けるように懇願されたが断った。ところが父兄や児童の前で名誉校長と紹介されてしまう。その後も辞退を申し入れたが、結局押し切られた。

③2016年の首相夫人と籠池夫人の名誉校長を引き受けた後のメールで、籠池の名前を見ても誰か分からず、「塚本幼稚園 籠池泰典の家内」と名乗られようやく理解。その後もそれほど親密な様子は確認できない。が、報道では如何に親密か強調され続けられる。首相夫人と籠池夫人のやり取りでは、事件化以前のものが重要かと思われる。事件後のメールは首相夫人が逃げたと解釈され得る。事件後の関係もそれはそれで本質が現れるとも考えられ意味はあるが、事件以前の関係が本来の関係であり、ここのところが誤解されている恐れがある。

④野党は財務省と国交省の交渉責任者の参考人承知を求めていた。与党はこれに応じず虚言癖のある籠池氏の証人喚問に走りかきまわされた。与党側の対応ミスは真摯に説明し反省すべきと思われる。

⑤籠池氏の陳情を首相夫人付職員は首相夫人に確認し財務省に取り次ぎ希望に沿えないという回答を返した。つまり首相夫人の名前は財務省に全く影響していない。

⑥小学校の工事業者は安倍晋三記念小学校だと聞いていた。この業者は工費の未払いで籠池氏を訴えたが、籠池氏は刑法上の犯罪を犯した可能性が高い。

⑦近畿財務局にとって大阪航空局の代行業務の重要性は低かった。籠池氏の交渉は執拗で、政治家の名前を乱発し、恫喝的言辞でしばしば罵った。つまり首相や首相夫人の働きかけが無くとも近畿財務局が交渉に失敗する理由はあった。

以上ですが、報道の影響によるものか、この辺の経緯がスッポリ抜けている印象です。安倍首相や首相夫人が怪しいという前提による報道が世論に伝染している印象ですが、森友報道は一連の流れで支持率は下がっていない(加計で支持率が落ちた)と筆者は認識しています。それは確度の低い情報が意味をなさなかったからだと思いますが、一度間が空いたこともあり、上にのっている公文書偽造が本物の情報であるがゆえに、土台の偽情報が浸透したのではないかと考えられます。今一度丁寧に説明するべきかと思われます。

野党の皆さんは安倍政権の支持率が下がっても自身の支持率が上がらないことに悩んでいるようですが、デマを拡散しているから評価が上がらないのだろうと筆者は思っています。