観測にまつわる問題

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子どもの貧困(無職世帯の高い乳児死亡率)

2018-03-14 14:11:22 | 政策関連メモ
沖北相補佐官に島尻安伊子氏(産経ニュース 2018.3.2 10:04)

>政府は2日の閣議で、福井照沖縄北方担当相の大臣補佐官に島尻安伊子元沖北相を続投させることを決定した。

>福井照沖北相は同日の閣議後の記者会見で、島尻氏の起用について「補佐官として沖縄振興に関する重要政策、特に子供の貧困、緊急対策の推進を担当していただく」と述べた。

今沖縄関係の政策に力を入れているところなので、子供の貧困にチャレンジしてみようと思っています。基本的に社会保障は苦手分野ですので、分かるところから少しづつやるつもりです。参考にしたのは「子どもの貧困ハンドブック」(かもがわ出版)ですが、全部読んでいる訳でもありませんし、これを全部やればいい!と思っている訳でもありません。基本的に筆者の意見は書いたものが全てであり、それ以上でもそれ以下でもありません。

何でも無職世帯の乳児死亡率って異常に高いらしいですね。


厚生労働省

100人以上常用勤労者がいる企業において1000人の内1.1人の死亡率に対して、無職世帯の乳児死亡率は15.7人になっています。ついで死亡率が高いその他でも3.2人ですから、かなり突出した死亡率になっているのが分かると思います。これは結構衝撃的です。

これの原因はいろいろあるのかもしれませんが、ひとつにはお金の問題で妊婦健診を受けられていないことが考えられます。

妊婦健診はなぜ必要? 飛び込み出産が危険なわけ(All About 健康・医療)

>日本は母体死亡率や周産期死亡率が世界一低く、医療技術が発達しているゆえに、お産が安全なものだと考えられていますが

>母体や妊娠経過についての情報がないのはとても困るので、妊婦健診はきちんと受けていただきたいです。最近は自治体から母子手帳と一緒に妊婦健診の無料券を配布していますので、家計の節約のために妊婦健診を受けなかった、ということがないようになれば、と思っています。

日本は基本的にはお産が安全な国のようですが、それも医療技術が発達しているからなのであって、ちゃんとした医療が受けられなければ勿論乳児死亡率は高まると考えられます。無職世帯だけが突出していることから、病院の違いというよりは、その前の検診がより重要なのではないかと推測しました。無職世帯だと一切検診せず飛び込み出産になりやすいのではないでしょうか?そしてそれが乳児死亡率に大きく影響しているのだと考えられます。

未受診や飛込みによる出産等実態調査について(2010年調査報告(平成22年度))(大阪府 平成27年1月27日)

>平成21年1月から12月の1年間に、大阪府で発生した未受診妊婦の頻度は、府内の500分娩に1例であった。うち69.0%は周産期学的ハイリスク群で、続発した母体新生児合併症のいくつかは予防できたと考えられた。周産期死亡率は19.7で、これは40年前(1970年)と同等である(2008年は4.0)。低出生体重児や早産児、NICU入院も多く、未受診が母子共に極めてリスクの高い事象であることが浮き彫りになった。

>また、平成21年度調査では未受診妊婦が医学的にハイリスクであると同時に、社会的に大きな問題であることを明らかにした。すなわち、未受診の理由として「経済的理由」を挙げた者は3割であり、経済的支援のみでは解決しない事例が多いと考えられた。

意外にも経済的理由は3割に過ぎないようです。対策としては、養育支援訪問事業があるようです(養育支援訪問事業ガイドライン 厚生労働省)。4.養育支援訪問事業の実施状況調査(厚生労働省)を見ると、市町村の実施率は石川・大阪・山口で100%、一方では5割を切っている県もあります。訪問実施家庭数・訪問延べ件数を見ると、市町村における実施率がそれほどでもない県でも人口のわりによく実施されている県もあって、非常に地域差が大きいのではないかと考えられます。

お金の問題ではなく妊婦健診を受けない世帯には問題も多いと考えられ、実施数だけでなく、実施内容が求められるのではないかと考えられますが、本気でやるとなるとかなりハードな仕事になるのではないかと思います。地域差も含めて実態調査があった方がいいかもしれませんね。

お金の問題に関して言えば、補助券の配布がありますが、5~10万は必要なようです(妊婦健診とは?頻度や回数、費用は?補助券はどこでもらう? こそだてパック)。

今回は無職世帯の高い乳児死亡率を例にとりましたが、どうも子どもの貧困の解消とはそう容易ではない印象です。子どもの貧困・格差を解消するためには、無職世帯の高い乳児死亡率を下げる必要がありますが、経済支援や養育支援がどの程度有効か検証する必要があると考えられます。エビデンスに基づく政策という奴ですね。

エビデンスに基づく政策形成に必要な「データ分析の力」とは?
(RIETI 独立行政法人経済産業研究所)

エビデンスに基づく政策は重要でしょうが、これにも課題があって因果関係と相関関係を見極める思考法が重要だという指摘があるようです。因果関係と相関関係が分からないようでは、エビデンスに基づく政策はできないということになりますが、これからの時代、AIに負けないためにもその辺が分かる思考力が重要になってくるのかもしれません。


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