委ねる守り・委ねられない守り
この子を守りたい。
この子を守ってあげたい。
大事な子どもを守りたいと、
親は願います。
時に、自分の命に代えてでも、
子どもの命を守りたいと、親は願います。
大事な子どもの、命を守りたい。
大事な子どもの、子ども時代を守りたい。
子ども時代を守りながら、
子どもが成長して自分の道を見つけることを、
親は願います。
親にとって、子どもはいつまでたっても、子どもです。
赤ちゃんのころも、歩きはじめのころも、幼稚園のころも、
小学生も、高校生も、そして大人になっても。
親の瞳の中では、それぞれの年齢の子どもが、
その時のまま息づいています。
親にとっての、「気持ち」の連続は、よく分かります。
でも、それが「関係」の連続になるとき、
子どもを「子どものまま」に
縛ることになってしまうのでしょう。
守り方は二通りあります。
委ねる守りと、委ねられない守り。
はじめの子どもへの思いは同じでも、
守り方が違うと、
子どもとの関係もまた、
違うものになっていきます。
子どもが日々の中で、
自分の体験として感じている親の愛情は、
日々の守られ方という関係を通して
積み重ねられていきます。
最初はほんのわずかなすれ違いでも、
一日1メートルなら、1年で365メートル。
10年で3650メートル。
それを、街の距離で測ってはいけません。
それは、すぐに歩いていける距離ではありません。
その距離を、山の高さ、海の深さで感じなければ、
子どもの気持ちを分かってあげることはできません。
富士山の距離を、
すぐに埋めることはできません。
3キロ深海の海の底に、
親の光りは届きません。
子どもが、そう感じてしまう関係の距離。
それはそのまま、自分の子どもとしての
イメージにも関わります。
自分が大事にされていること。
愛されていること。
信頼されていること。
そのことを、間違えずに子どもに感じてもらうためには、
関係の自立こそが、大切なことだと思うのです。
そして、関係の自立とは、
子どもを信じること、
子どもを委ねることからしか始まりません。
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