なぜと問わなくてすむように 2021(その8)
「助けて」という言葉を疑問なく使ってきたが、ふと考えたら「助けて」という「単語」はない、のだ。基本形は「助ける」という動詞だ。それに、「て」という接続助詞がついている。つまり「て」の後ろに隠れている言葉がある。
それは「下さい」(ほしい)だろう。
「なぜ助けて下さいと言えないのか?」
これだと問いの印象はずいぶん変わる。
たとえば介護者が、「なぜ助けて下さいと言えないんですか?」というとき、介護される人はどう感じるだろう。
あるいは、子どもが海で溺れている時。
・・・そもそも「なぜ」と問う人はいない。
なぜか? 「助ける」のが当たり前だから。一目瞭然だから。問うまでもないことだから。
そこに「問い」が現れるとしたら、「なぜ助けないのか?」だ。
この「問い」は、自分に返ってくる。
答えなければいけないのは、自分。
□
ここまでくると、はっきり分かる。
「なぜ?」を、相手に向ける問いに乗ると、自分への問いから遠ざかる。つまり、自分自身からも遠ざかるのだ。
それは自分の中の深い感情からも遠ざかることであり、言葉は浅く軽くなる。
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