かつて、札幌の奥座敷と呼ばれる定山渓温泉まで定山渓鉄道(じょうざんけいてつどう)という
鉄道路線がありました。
大正7年10月17日、観光客や木材・豊羽鉱山で採掘された鉱石を運ぶ為に、白石~定山渓間を結ぶ鉄道として開業しました。
昭和4年には電化され、駅も増設されて行きました。戦後、行楽客の増加や沿線の宅地化などで黄金期を迎えますが、高度成長期
に札幌から定山渓への道路(国道230号線)が整備され鉱石輸送はトラックに変わり、乗客もバスやマイカーに奪われて行きました。
昭和41年10月、東札幌と定山渓の間にある66ヵ所の踏み切りの内、20ヵ所以上が主要路線と平面交差し、事故の危険性が高い
ため、立体化か撤廃かを求める勧告を受けました。
折しも、昭和47年2月に開催される事が決定した札幌オリンピックの選手輸送の為に札幌市高速軌道計画(札幌市営地下鉄・
南北線)が策定され、昭和42年12月に札幌市から線路用地の買収の申入れをされました。
沿線住民の足を維持する為に、平岸~藤野沢(高速軌道計画の将来の終点)までの線路用地を一括譲渡する事が決定し、昭和44
年10月31日を最後に運行を終え、51年の歴史に幕を下ろしました。
今回紹介するのは、旧定山渓鉄道の駅舎として現存する唯一の駅舎です。
旧 石切山(いしきりやま)駅
(札幌市南区石山1条3丁目1番30号)
この駅舎は昭和24年に建てられたものです。
現在は、石山振興会館として利用されています。
鉄道は無くなりましたが、駅舎は地域住民の皆さんに愛され利用されています。
高速軌道計画の為に藤野沢(藤野)まで取得された線路用地ですが、真駒内以南は延伸されず現在は
市道(道路)になっています。