「(菅)話放題」⑫

2010-09-27 16:23:24 | 「(菅)話放題」
            「(菅)話放題」⑫


 尖閣諸島を巡る日中間の領有権問題について、「那覇地検」が中国

人船長を処分保留のまま釈放するとの速報が流されて、私は、勝れて

政治的な問題が、表向きであるにせよ、一地方検察庁の判断で行われ

たことに憤りを覚えて直ぐにパソコンの前に向かってブログに打ち込

もうとしたが、ただ解せないのは、こんなことは社会科の授業で政治

を習う中学生でも職務権限の逸脱だと理解できることで、たとえ民主

党政権に実績がなかったとしてもこれまで野党として前政権を批判し

てその政治能力は国民に支持されたのだ。その程度のことは卑しくも

政治家であれば、否、政治家でなくとも、国民から非難されることは

解かっていた筈ではないか。実はもっと裏があるのではないかと憤り

を収めて色々勘繰ってみた。仮に、菅政権が中国の政治圧力に混乱し

たとしても、世間で謂われているように、政治判断を誤ったとは到底

思えなかった、態と政治判断を避けたのである。もし、検察に責任を

預けて政治判断を避けようとしたのであれば何をか謂わんや、早々に

民主党政権は崩壊するだろう。

 ただ、領土問題は拗(こじ)れると二国間の紛争にまで至る微妙な

問題である。日本も中国もそれだけは避けなければならない。今日、

仙石官房長官は「日本側は船長を釈放したのでボールは中国側にある」

らしき発言をした。この発言もよく理解出来ないが、つまり尖閣諸島

を巡る日中間の領有権争いは、先の日中平和友好条約(1978年)に

基づいて双方が棚上げすることに合意して政治問題化することを避け

てきたのだ。日本はそれに従って一漁民(これが曲者)の領海侵犯問題

を政治問題として扱わなかった。さて中国政府は日中条約を犯して島

の領有権を政治問題として棚下ろしするつもりですか?つまり、日本

側が弱腰外交と謂われる事を承知しながらも政治判断を避けた背景に

は、マスメディアは決して伝えないけれども、飽くまでも日中「平和

友好」条約を遵守しなければならなかった為ではないだろうか。そう

思って観ると多少は政府の対応が理解できるのではないだろうか。つ

まり中国側に、尖閣諸島の領土問題を政治問題にしたのは日本の方で

あるという口実を与えない為なのだ。 たとえば、日本政府が中国人

船長を起訴して有罪が確定すれば、尖閣諸島は日本の法律が及ぶ日本

の領土であると宣言したことになって、中国側にすれば日中条約で棚

上げされた問題が現実の政治問題化して、それは日本政府によってな

されたと訴えることだろう。そして日中条約を犯したのは日本政府の

方であると非難するに違いない。 

 日本政府は、日中条約に沿う限り中国政府はこれ以上尖閣諸島の領

有権を政治問題のすることはないだろうと踏んでいる。もし、中国側

が強権発動して尖閣諸島を実効支配するようなことがあれば、忽ち国

際条約違反で二国間の紛争問題になり、日本は同盟関係にあるアメリ

カに軍事援助を仰ぐことになる。そうなれば米中間の紛争に発展する

可能性すらある。恐らく中国もそれは望まないだろう。そして、その

ボールはいま中国側にある。

 平和外交とは強権的な相手の態度から捉えれば弱腰外交に映るかも

しれないが、ただ体面ばかり気にしていては思わぬ罠に落ちることだ

ってある。だって我が国は武力を背景にした強権外交など出来ないん

だから。                   

                            (菅)⑫


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