「シングル・イシュー、それともビック・イシュー?」

2011-07-02 20:28:39 | 「パラダイムシフト」
「シングル・イシュー、それともビッグ・イシュー?」


 脱原発政策の是非を問う選挙を、ただ一つの政策の賛否によって

政策全般が信認されたと見做されることへの反発から、かつて小泉

政権が郵政民営化問題だけのシングル・イシューを国民に問い総選

挙に大勝すると政権が信認されたと勘違いした様に、菅政権が政権

維持を図る為に脱原発政策の是非を国民に委ねることに批判的な意

見があるが、しかし、私は脱原発政策が所謂シングル・イシューだ

とは到底思えない。何故なら、脱原発政策とは社会経済の根幹を担

うエネルギー・シフトの転換であり、これまでの近代文明の価値観

そのものを大きく転換させるビック・イシューだと思っているから

だ。脱原発政策をシングル・イシューだと言い切る政治家の鈍感さ

に驚く。そもそも、原発から自然エネルギーへ転換すれば今まで通

りの経済成長がこれからも続くと思っている

のだろうか?これまでのエネルギー・シフトは、例えば石炭から石

油というように、より経済性の優れたものへの転換だったが、いま

我々が迫られている転換は、決して経済合理性に基づく成長への転

換などではないのだ。恐らく、これまでに人類は環境を守る為に手

に入れた最先端の技術を投げ捨て時代を後戻りするような転換を成

し遂げたことなどなかった。原発政策は3・11の「フクシマ」までは、

CO2を排出しないクリーンエネルギーとして政財学が談合した


「原子力村」によって強力に推進してきたではないか。経済の根幹で

あるエネルギー政策を最先端の原発から自然エネルギーへシフトす

る、つまり、後退させることなど、未だかつて成し遂げたことのな

いビッグ・イシューではないか。脱原発政策がシングル・イシュー

だと言うなら、憲法改正問題も核武装さえもシングル・イシューだ。

さらに、「フクシマ」原発事故を喰らって喉元を過ぎた地球温暖化

問題さえ何一つ有効な対策は取られず、否、それどころか原発事故

によってCO2を排出する化石燃料への依存も已むを得ないと、溜

飲を下げるどころかさらに皿まで喰らおうとしているではないか。

我々は生活習慣病患者のように飽食への依存から抜け出せずに遂に

神経がマヒしてい、社会はすでに機能不全に陥ってしまった。つま

り、我々はこう言っているのだ、


「更なる豊かさを、さもなくば死を!」


                                      (おわり)


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