「自分自身のために残す三島由紀夫の言葉」

2012-09-01 09:22:09 | 従って、本来の「ブログ」
   




     「自分自身のために残す三島由紀夫の言葉」


「純文学には、作者が何か危険なものを扱っている、ふつうの奴な

ら怖気をふるって手も出ないような、取り扱いのきわめて危険なも

のを敢て扱っている、という感じがなければならない、と思います。

つまり純文学の作者には、原子力を扱う研究所員のようなところが

なければならないのです。私小説ばかりでなく、読者はそれこそハ

ラハラして、作者の身の危険を案じながら、それを読むのです。小

説の中に、ピストルやドスや機関銃があらわれても、何十人の連続

殺人事件が起こっても、作者自身が何ら身の危険を冒して『危険物』

を扱っていないという感じの作品は、純文学ではないのでしょう。」

        「孤立無援の思想 高橋和巳 全エッセイ集」より
        「仮面の美学 ― 三島由紀夫」からの抜粋


「自分自身のための覚書」

2012-09-01 09:21:17 | 「パラダイムシフト」



        「自分自身のための覚書」


 まず、イギリスに端を発する近代文明は、ブリックス(BRICs)

まで伝播して終焉を迎える。その流れは再び産業革命発祥の地

イギリスへ還ることはないだろう。循環は途絶えたのだ。その絶

頂はアメリカが展開したフォーディズムである。それは大量生産

によって大量消費文化をもたらした。その消費文化は日本に伝

播して、少なくとも日本は性能を進化させるなどの技術革新を展

開させて文明の終焉を先送りさせることには貢献した。21世紀

に入って近代文明を受け継いだブリックスには、それを新たに展

開させる技術文化はなかった。技術文化がないということは新しい

価値を生む自立した文化を持っていなかったということだ。彼らは

既存の技術に驚きはしたが、模倣するだけで更なる展開をもたら

さなかった。中国からはエジソンも本田宗一郎も現れなかった。彼

らが世界にもたらしたものは安価な人件費だけである。自らの文化

を背景にしたイノベーションは遂に、それだけでなく社会科学におい

ても、何一つ新しい展開をもたらさなかった。それは、ブラジル、ロシ

ア、インドなどと共に近代文明のエンドロールが流れる場面でのエピ

ローグなのだ。しかし、彼らはこう言うだろう、「それでも今や世界は

われわれの時代だ」と。そこで、我々はこう応える、「そうとも、今や

世界は『何も生まない』君らの時代なのだ」と。

                                    (つづく)



 「ミジンコ(民自公)連合が秘かに目論むもの」

2012-09-01 09:19:50 | 「パラダイムシフト」
 


      「ミジンコ(民自公)連合が秘かに目論むもの」


 あまりマス・メディアは取り上げないが、消費増税法案をきっか

けにして生まれた三党合意は、ただそれだけに止まらず、もしかし

たら憲法改正まで視野に入れているのかもしれない。次の選挙で、

「ミジンコ(民自公)」が連合して、憲法改正を主張する橋下維新の

会と合わせて議席の三分の二以上を占めることになれば、間違いな

く憲法改正が実現可能なものになる。もしかすると、既存政党の橋下

支持の本意は憲法改正にあるのではないだろうか。一方で、石原都

知事によって尖閣諸島への調査を目的にした上陸が行われることで

もあれば、国内不安を抱える中国は国民の眼を外に向けさせるため

に暴挙を厭わず忽ち二国間に不測に事態が起こることだってある。

齢を重ねた石原都知事がその余命を擲って国家のために捧げるこ

とに迷いなしと覚悟を決め、というのも都職員は恐らく尻込みするだ

ろうから、国家の大義に殉じた英霊に続かんと自ら先頭に立って上

陸することにでもなれば、そして縦しんば、夷人らの手によって討た

れることでもあれば、俄かに過去の遺恨が蘇えってきて尖閣諸島を

巡って荒波が立つことにもなりかねない。その時、いったいこの国の

中でどれだけの国民が我が国の領土を守るための交戦権の行使に

反対できる者がいるだろうか。国内問題を抱えるのは何も中国だけ

に非ず、原発問題を始め米軍基地問題や更には経済問題など、我

が国に於いても国民の不満は燻ぶっている。それらから眼を逸らせ

るために国家の存亡を訴えて国内秩序を取り戻そうとするのは権力

者の常道である。一度戦火を交えれば、脱原発もオスプレイも消費

税もそんなことを言ってる場合かとなってどうでもよくなり、時の政権

は国民の支持を回復する。この国では、重大な問題はいつも表沙汰

を避けて決められてしまうことを忘れてはならない。恐らく、次の選挙

では憲法改正は現実の問題に隠されて露も語られないだろうが、目

論んでいるから隠されるのだ。


「すは、2008年の再現か?」

2012-09-01 09:18:09 | 「パラダイムシフト」



               「すは、2008年の再現か?」


 米農務省は9日、国内のトウモロコシと大豆の収穫について、1

988年の大干ばつ以来で最悪の状況になっているとの見方を示し

た。穀物相場は足元で急騰しており、世界的に食料価格が再び高騰

する懸念が強まっている。[シカゴ 9日 ロイター]

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE86904220120710


アメリカが干ばつに見舞われている。穀物価格は高騰し、食糧危

機が避けられない事態だと言う。

「原因は、米中西部の穀倉地帯で、記録的な暑さと少雨により「5

6年ぶり」(米メディア)といわれる深刻な干ばつ被害が広がって

いることだ。米国は世界最大の穀物輸出国。「秋の収穫量が大きく

減るのではないか」との見方から、価格が上昇。世界的な金融緩和

であふれかえったお金が、欧州危機で行き場を失い、穀物市場に流

れ込んでいることもある。」(朝日新聞デジタル2012年7月21日22時

12分)

 実は、2008年にも同じような食糧危機が問題になった。それ

は、地球温暖化問題によって穀物のバイオ燃料への転用が急速に進

んで穀物価格が高騰し食糧不足が深刻になり中南米では暴動まで起

こっている。4年前のちょうど今頃といえば世界は北京オリンピック

で盛り上がっていた。そして、そのオリンピックが終わって間もな

くの9月15日リーマン・ブラザースが経営破たんして世界的な金

融危機へと連鎖した。「日経平均株価も大暴落を起こし、9月12

日(金)の終値は12214円だったが、10月28日には6000

円台の安値をつけるまで下落した。」(ウィキペディア「リーマン・

ショック」) 更に遡れば、1929年の世界大恐慌も、もっとも

生産不足とは正反対ではあるが、機械化によって生産性が上り過剰

生産が大暴落の背景にあった。つまり、経済危機は常に食糧問題や

エネルギー問題と絡んで起こっている。穀物価格の高騰は各国経済

を急激なインフレへと向かわせることだろう。ただ、そのことが巨

額の債務を抱える日本経済にどのような影響を与えるかは、門外漢

の私が口を挟むことは慎む他ないが、恐らく経済のブロック化が進

むのではないかと思うが、それがグローバル経済にどのように影響

するのか、例えば、新興国の労働賃金がインフレによって更に高騰

すれば、海外生産による利ザヤは減るに違いない。ネットで調べて

みてもを専門家もその辺のことはあまり取り上げていない。EUの

経済危機を持ち出すまでもなく経済危機の火種は燻ぶっている。リ

ーマン・ショックを引き起こしたサブプライムローンにしても、そ

れまでは楽観論が頻りに関係者や専門家によってマス・メディアを

通じて流された。つまり、関係者によるEUの経済危機は去ったと

いう楽観論はあまり当てにはならない。そして、秋に政権交代する

中国や11月に大統領選挙を控えているアメリカからはネガティブ

な情報は隠蔽されるに違いない。つまり、経済危機はその情報の後

から起こるのではないのだ。だとすれば、・・・。やめよう!私は

予言者でも況してや霊能師でもないのだから。因みに、1929年

の大恐慌は株価が暴落した10月23日木曜日を後に「ブラックサ

ースデー(暗黒木曜日)」と呼び、リーマン・ブラザースの倒産は2

008年9月15日月曜日だった。つまり、秋は要注意なのだ。た

だ、今や70億人を越えた人間の誰もがアメリカ人の様な暮らしを

望んだとしても、すでに地球の能力を越えていることだけは決して

忘れてはならない。つまり、我々は1929年の生産過剰による大

恐慌とは正反対の事態、起こるとすれば資源不足からのインフレに

よる経済危機を迎えるのではないだろうか。だとすれば、それはグ

ローバル経済の崩壊であり近代物質文明の終焉ではないだろうか。

ロンドンオリンピックが終わるのが怖い。

                        

「安全神話と無失点神話」

2012-09-01 09:16:50 | 「閑話放題」




            「安全神話と無失点神話」


 ロンドンオリンピック、男子サッカー準決勝、対メキシコ戦は、

日本が鉄壁の守りを崩されて1対3で負けました。それまで無失点

で勝ち続けてきた日本チームをテレビは絶賛して「無失点神話」さ

え生まれ始めていた。その時に思い出したのが原発の「安全神話」

でした。とかく我々大和民族は「神話」に弱い。人知を越えた「神

話」の呪縛に囚われると忽ち思考停止に陥る。更に、日本チームが

先制点を得たことが「神話」に拍車がかかった。無失点で終わるな

らすでに勝ったも同然ではないか。死に物狂いでボールを奪い取り

に来るメキシコ選手に余裕のパス回しをカットされて危ない場面を

迎えることが幾度もあった。そんな中でメキシコの同点ゴールは、

オーバーエイジ枠から出場しているキャプテンであり守備の要であ

るディフェンダーの吉田選手が、相手側の前線へのロングパスをオ

フサイドだと線審に抗議しながらのプレーで対応が遅れてコーナー

キックを与えてしまった。私にはそれがゲームに集中したプレーに

は映らなかった。そしてそのコーナーキックから失点した。すでに、

「無失点神話」はその時に途切れたが、必死で迫ってくるメキシコ

選手に伍した闘争心は残念ながら生まれなかった。そして、相手の

逆転ゴールは、サイドをドリブルで競り上がる選手が蹴り出したボ

ールがゴールラインを割ると誰もが思って追うのを諦めた時、その

選手だけが必死で駆け上がってライン際で拾いゴール前へ流した。

そのプレーはメキシコ選手の勝利への強い執念を感じさせた。その

執念は味方の選手にも伝わり、一旦はキーパーに阻まれたが、キー

パーから流されたボールは足が止まってしまった思考停止の(集中力

を失った)日本選手を襲って奪い返し、体制が整わない日本のディフ

ェンスの一瞬の隙を衝いて放たれたシュートは、前に出ていたキーパ

ーを掠めてゴールに吸い込まれた。改めて録画を観ると、日本選手た

ちはボールを奪われた選手の後方を横一列に並んで歩いているでは

ないか。つまり、明らかに日本選手は勝利への執念に於いてメキシコ

の選手よりも劣っていた。「無失点神話」が崩れ去り呪縛から解かれ

た日本の選手たちは思考停止から覚めないままにゲームオーバーの

ホイッスルを聞いた。ただ、試合後の選手たちのコメントでは相手チー

ムを讃えて、自分たちの負けが「想定外」だったと語らなかったことが、

つまり、自省の言葉が語られたことがせめてもの救いだった。