「あほリズム」
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「ぼんやり」とではあるが、世界がますます好ましからぬ方へ
向かっているようにしか思えてならない。たとえば、アフガニス
タンでは駐留米軍の撤退によって政権を奪還したイスラム原理主
義組織タリバンが国民の人権を第一義に国政を掌るとは考えられ
ないし、中国、ロシアは言うまでもなく、ミャンマーを始めとす
る東南アジア、ベラルーシの東欧諸国、そして中央アジア、中南
米などなど、かつて新興国と呼ばれて経済成長が期待された国々
がドミノ倒しのように次々と軍事独裁政権によって非民主化され
ている。
かつてドイツ観念論の祖である哲学者イマヌエル・カントは「
民主主義国家同士は戦争しない」(民主的平和論)と論じたが、それ
が正しければ、非民主主義国家が増えたということは戦争を拒まな
い国家が増えたのかもしれない。そして、民主化を巡る対立から軍
隊が市民に銃口を向ければ、軍隊は自らの存在意義を失い、自国で
の存在意義を失った軍隊は他国との戦闘に存在意義を見い出そうと
する。非民主化の流れは平和な時代の終わりの始まりなのかもしれ
ない。