ほんでもって、4連荘の最終日、10月26日は、前日と同じく森ノ宮ピロティホールでの『ローソン・ジャズ・ウィーク2010』の2日目の出し物、『夢乱バンド』のライヴを観戦のため、前日に引き続き森ノ宮で下車。
ライヴにそなえて、軽目に何か食そうと企んでいると、うどん屋さんの看板を発見したので入店する。
ワタクシが入店した時には、カウンターにいた2人の男性と厨房のマスターが談笑中で、話題は、前日に綾戸智恵さんが店に来ていたという話だった。
うどん屋さんには珍しく、店内にかかるBGMはジャズ。
タイミングの悪いことに、うどんの出汁が切れてしまったという事で、ワタクシが希望したきつねうどんを食することはできず、何か他のメニューをと考えながら口から出た言葉が、なぜか「カレーライス」
オーダーしてしまったので仕方が無いが、この時は、ほんまに心からきつねうどんを食したかったのだ。
そんな時って、ありませんかねぇ?
特に関西人は?
8月の時点では、10月に観戦するライヴはこの日のライヴ1本だけに絞っていたのだが、その後の情勢の変化により4連荘という愚行を犯してしまったわけである。
チケット取りに気合を入れたおかげで、1階席前から2列目という好位置を確保。
『夢乱バンド』とは、ハイセンスな音楽ファンなら知る人ぞ知る、かつての関西TVの『夢の乱入者』という伝説の番組のレギュラーバンドの事。
番組のホストは、ギタリスト渡辺香津美が勤めて、月に1度、ゲストを招いてのトーク&ライヴ。
(『夢の乱入者』についてはこのサイトを参照されたい。)
渡辺香津美の他のバンドメンバーは、ドラムス東原力哉、ベース清水興、キーボード島田昌典。
今となってみると、月に1度とはいえ、関西ローカルの深夜に、この凄腕ミュージシャン達がゲストを盛り上げていたのが信じられない。
なので、リアルタイムでこの『夢の乱入者』を観ていない人には、その偉業がさっぱりわからないだろうと思う。
26日の『夢乱バンド』は、キーボードの島田昌典が欠席していたが、力哉&興の強烈リズム隊は健在で、渡辺香津美を加えたトリオと絡むミュージシャンは、カシオペアのギタリスト野呂一生、石田長生、BOW WOW(後にVOW WOW、さらにBOW WOWと改名)のギタリスト山本恭司、プラス歌姫吉田美奈子。
実は、ワタクシ、夢乱バンドの出演の報を聞いてチケット取りに走ったので、ゲストに誰が出るのかは前日にパンフを手にするまで全く知らなかったのだ。
こんな顔ぶれのライヴを観戦できるなんて、アンビリーバブルであった。
ワタクシにとってお初だったのが、野呂一生と山本恭司だったが、この日は山本恭司の個性を、圧倒的に感じた。
相変わらずのスリムな体形、チリチリのロン毛、パンタロンにヒールの高いブーツと、ディストーションかかりっ放しのギターサウンドと音程抜群のアームプレイ。
ステージ上で、もっとも高度な音楽理論と奏法を披露していたのは渡辺香津美と野呂一生だったろうが、山本恭司に食われてしまった感がある。
昔、デビューしたての頃は歌は上手くなかったけど、今は随分上手くなったなぁ、とも思った。
吉田美奈子が登場すると、これが初対面らしき山本恭司が歩み寄り、ステージ上で握手を求めるという紳士ぶりにも好感度。
石田長生の、持ち前の関西仕込みのアクの強さとヴォーカルとの対比も面白かった。
ギタリスト全員がアコギに持ち替えたコーナーでは、ギタリストの人数が多すぎて、聴いている方には食い足りない感もあったが、それは贅沢というもの。
山本恭司のディストーションサウンドを体感するには、前から2列目というのはちと耳につらい時間でもあったが、それもまた贅沢というもの。
こうして、10月はたそがれの月に突如巻き起こった怒涛のライヴ4連荘は、無事に終了したのであった