再び手拍子について。
これまた以前のお話。
3階席まである、キャパ1,400人くらいのホールでのジャズコンサートでの事。
ピアニストのリーダーが管楽器を含めた6~7人編成の奏者と複数のヴォーカリストを率いて、ほぼ固定したメンバーでライヴをこなしている。
随分以前にアルバムで聴いた記憶を引きずって、いつかライヴ会場にと切望しているうちに何年も経過してしまい、ようやく諸事情が合致したのでやってきた。
目測して7割くらいの入りで、ワタクシの席の周辺では、グループ行動でなくバラバラに来たように見える人達が、お互いがお馴染みさんなのか挨拶を交わしている雰囲気がする。
このバンドのファンクラブの集いでもなさそうだ、とか感じながらも、気にするような事ではないだろうと開演を待つ。
演奏が始まったとたん、ワタクシの前列に一人で座る目測40代くらいのお兄さんが両手を高く上げて、いきなり手拍子全開状態に突入した。
これまた、ステージ上の演奏者が手拍子を要求している様子ではない。
オープニングナンバーは軽快なリズムの曲だったんで、手拍子で参加するのに違和感は感じられない。
ところが、その手拍子が変だった。
リズムのアクセントなんざぁ一切無視した、とてつもなく滅茶苦茶なのだ。
とてつもなく滅茶苦茶なのだが、
前回に紹介したトンデモ手拍子オバサン体験の時とはどうも様子が違う。
テンポとしてはほぼ合っている。
けど、変だ。
ワタクシの前列の右側6人くらいズレた位置にいたのだが、頭の上に両手を挙げた大きなモーションで強烈な手拍子を打っているので、いやでも視界に入ってしまう。
ただ、トンデモ手拍子オバサンの時とは違って、手拍子で参加する曲数は多くはない。
トンデモ手拍子オバサンのように3拍子曲やスロー曲を除外している様子ではないが、いったいどんな基準で参加するしないを決めているのやら見当がつかない。
時々の事なので気にするまいとステージに集中していると、今度はワタクシの列の8人くらい左の位置で、何やら明かりが漏れてきた。
視界の隅っこでは、iPadなのかそうでないのかタブレット端末を開いて画面に見入っては閉じて、しばらくするとまた画面を開いている。
視界の隅っこではあるが、暗い客席の中なので液晶画面がまぶしい。
マナーを知らないヤツは時々見かける。
マナーを知らないヤツの中でもたいていのヤツは、例えば両手で覆って少しでも画面の光が漏れないようするとか、例えば座席より低い位置で画面を開くとか、マナーを知らないヤツなりに周囲に遠慮しつつ画面を見ているものだが、とにかくこんだけ堂々と画面を光らせてるヤツは初めて目撃した。
LINEやってたのかメールやってたのか、入力してる気配すらあった。
もし隣でそんな事をやられたならば、やめてくれと注意もするが、それには距離が離れている。
そのうち、ヤツは、演奏中であるにもかかわらず(つまり1曲が終わるタイミングをはからずに)、ふと立ち上がって開いた画面を光らせたまま後ろのドアから出て行った。
目障りなのがいなくなってステージに注目していたら、さっきから前列右側6人くらいずれた位置で手拍子してるヤツの意図が、突然に分かった。
ヤツが手拍子で参加しているのは、リズムセクションとしてではない。
主旋律のメロのリズムに合わせて手拍子してるのだ。
幼稚園とか小学校の音楽の時間に先生がやってたみたいに、、、、、、、、
そのバンドリーダーは、かつてアニメのテーマ曲を手掛けた事があって、その事はワタクシも知ってはいた。
ワタクシとしてはジャズバンドのライヴのつもりで参加したのだが、アニメ音楽として聴きに来てたのかも知れない。
もしかすると、そっちの人の方が多かったのかも知れない。
それがわかったとたんに、さっき外に出て行った画面光らせ男が戻ってきた。