
【2010年6月6日】 TOHOシネマズ二条
映画を見に行くまで気がつかなかったが、見進めていくうちに、『この映画いつか観た映画』だと思った。そう、2008年に観て、「その年に観た映画で一番感激した映画」と感想を綴り、ブログも書き掛けていたままの『ある愛の風景』(原題は同じ『Brφdre』)だった。
元の作品は、スサンネ・ビア監督のもので、デンマーク軍がアフガンに派兵される背景での家庭を襲った悲劇を描いていたが、今回のはアメリカ海兵隊がアフガンに派兵されたように置き換わっている。
日本人にとっては、デンマークよりもアメリカ海兵隊がアフガンにいった方がピンと来るし、本来ならこうした映画はアメリカの方が先につくってしかるべきだったのではないか、と思ってしまう。
ジャーヘッドの海兵隊大尉サム(トビー・マグワイア)はいかにもアメリカ人らしく、"世界を荒らし回る海兵隊”のイメージにぴったりなのだが、「ある愛の風景」の兄・ミカエル役の方があっているように感じた。弟役のギレンスホールはぴったりだった。

主権を無視した侵略戦争、戦場そのものがもたらす不条理は映画そのものを観て感じてほしいが、この物語がスクリーンの中だけの架空の話ではなく、現実の話と感じる。

今、日本では『沖縄の基地』問題で、国会や沖縄はじめ国中がゆれに揺れている。
基地はどこも受け入れたくないし、実際必要としないのだ。
今時、アメリカ軍が日本を守ってくれるとは多くの人は考えていない。“沖縄の痛み”を日本中にばらまく必要もないし、我慢を受け入れることもない。主権国家だったらフィリピンやヨーロッパの国の様に、基地をさっさと返してもらったらいい。
国民の圧倒的な後押しをもらいながら、対等にものを言える立場の人が、正々堂々と自分らの立場を主張しないで、尻込みしてどうなるというのか。
沖縄や日本国民はもちろん、アメリカ国民のためにもアフガンやイラン・イラクへの意味のない侵略戦争の基地を無くすことに反対はできないはずだ。
この映画の不幸が、一部の例外でなく現在のアメリカの青年や一般家庭を取り巻く、多くの現実を描いていると思われるからこそ、彼らのためにも良いことではないか。
沖縄や日本に基地を押しつけようと思っているのは、戦争によって利益を得る一部の好戦家と、アメリカの軍事負担を少しでも多く日本に押しつけようと思っている計算高い連中だけだ。
『マイ・ブラザー』-公式サイト