【 2016年8月16日 】 京都シネマ
1本目の『あなた、その川を渡らないで』は長年連れ添った老夫婦の、人生最期の時期を淡々と描いた作品。淡々と日常を描いているだけの、特にストーリーというのがあるわけでもなく、大きな事件が起こるわけでもなく・・・。
以前、韓国映画で『おばあちゃんの家』というのがあった。いわゆる《韓流》映画の印象とはだいぶ違い、またキム・ギドク監督のどぎつい内容とも、『猟奇的な彼女』『高地戦』などとも全然違い、「こういう映画も韓国で作るんだ!」と改めて感心して観た記憶がある。その後に公開された『牛の鈴音』という映画も、地味だがどこか心に響くものがあって、その2つの映画を思い起こしながら、今回の映画を見に行った。
98歳の夫と89歳の妻の日常を淡々と描いたドキュメンタリー映像なのだが、誰にでも訪れる【老いの世界】を温かく見つめている眼がいい。
○ ○ ○
2本目は、打って変わって「エヴェレスト」を舞台にした史実に基づく山岳映画『ヒマラヤ-地上8000mの絆』。
この頃の山岳映画は凝っている。どこでどのようにカメラを回しているか知らないが、リアルで臨場感に富んでいる。
しかし、全体の出来栄えはもう一つという感じ。せっかくヒマラヤ・エヴェレストまでロケに出かけるんだったらもう少し事実に忠実に描いてほしかった。自分もかつて通った「エヴェレスト街道」がスクリーンに映り、渓谷を渡る吊り橋や「アマダムラム」も映るのに、「エヴェレスト」を映した姿はどうしたわけかネパール側からの見慣れたエヴェレストでなく、チベット側からの映像だ。ベースキャンプも第2、第3キャンプもどこに設営したのわからない。史実に沿った映画とする割には、その辺がお粗末で、昨年見た『エヴェレスト-3D』の方がずっとリアルだった。
【 「エヴェレスト」北面-チベット側から頂上を望む 】
それと、韓国映画はどうしてみな同じよう、シリアスな場面なのに《マンガチック》というか《道化的》に描写するのかわからない。ユーモアの感覚がちょっとずれているような・・・。
やや期待外れだったか。
『あなた、その川を渡らないで』-公式サイト
『ヒマラヤ-地上8000mの絆』-公式サイト
『「牛の鈴音」とおば「あちゃんの家」』-マイブログ
『エヴェレスト-3D』-マイブログ