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【 2017年8月5日 】 京都シネマ
2時間半を越える長い映画なのだが、退屈することなく最後まで集中して観てしまった。縫いぐるみの雪男のような怪獣が出たり、成人映画でもないのに一糸まとわない”すっぽんぽん娘の姿がぼかしも入れないで登場したり、奇想天外としか言いようがないが、まじめな映画である。
やはり、日本との文化の違いを感じる。ドイツ・オーストリア圏の映画なので、経済的には日本に近いものがあって、娘は一流企業のキャリア・ウーマンで仕事に追われている。父親は老犬と”ふたり暮らし”で娘を気遣っている。この辺までは、日本でもありそうな話だ。
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しかし、職場を訪ねる父への娘の対応が日本では考えられない。日本だったら、自分の父親の姿を仲間の眼に触れさせまいと算段するし、会議の場に同席させるなんてことはあり得ない。ましてやあの身なり風情である。文化の違いかなと思う。
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性に対する姿勢も違う。男性は女性の立場を尊重する。(そうでないケースもあるかもしれないが)それと何といっても開放的だ。日本も以前に比べればだいぶ《開放的》になったかもしれないが、あそこまでオープンにしない。それも、構えるわけでもなく自然の流れで違和感がない。(さすが、男性自身には”ぼかし”が入っていたが)
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話が横道にそれてしまったが、子供を思う親の気持ちは世界共通だと思った。それと、ドイツの映画は、もともと数が少なく、それも堅い映画が多いという印象を持っていたが、これですっかり印象が変わってしまった。
この女性監督、これからが楽しみだ。
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『ありがとう、トニ・エルドマン』-公式サイト