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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『東京家族』-小津安二郎『東京物語』へのオマージュ、山田洋次監督50周年記念作品を観る

2013-01-27 23:47:53 | 最近見た映画


      【 2013年1月24日 】     MOVIX京都

 公開を待ち焦がれていたが、一昨日ようやくいって来た。3.11の『東日本大震災』を受けて脚本を書き直してのクランクインだったそうで、どんなふうに変わったのか興味を持って見たが、妻夫木くん演ずる二男の平山昌次がボランティアで陸前高田市に行き、そこで“恋人”に出会うという設定だった。他にもう一ヶ所、被災した人が登場したが、元の脚本はどんなんだったんだろうと想像する。


                                                 


 原作の方は、昌次はすでに亡くなっていて、その嫁である《原節子》が昌次の代わりに、老夫婦を東京観光に連れて行っているから、その辺で代わっていたのかもしれないと想像する。

 東京の長男が開業している個人医院の名前は『平山医院』だし、おじいちゃんが到着する日にその息子の勉強机がかたづけられ、それに《抗議》する息子と母親との言葉のやりとりも、ほぼ《原作》と同じである。

 子ども達が、東京に長逗留する両親の世話をもてあましている際、出される提案も似たようなもので、熱海の温泉が横浜の『みなとみらい21』の近代的なホテルに代わっている。


    


                                 


                                                   



 物語のあらすじは話すまでもないだろう。


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 しかし、『東京物語』(1953年公開)がつくられてからの60年の隔たりは小さくない。


                         



 熱海の温泉旅行を世話するのに『2~3千円』といっていたのが、『横浜みなとみらい21』の『インター・コンチネンタル』(半円形三日月型のホテル)に2泊の予約を入れようとしたら『3万、いや5万円必要かも』という台詞から見ると、物価は10倍以上に上がっていると思われる。

 原作で5人いた子どもたちは、新作では末息子となる昌次を含め3人に絞られ(新作での隣の『ユキちゃん』は原作では第5子・末っ子の『京子』(香川美子)になっている。そうしないと現代では、68歳で亡くなる母親の年と釣り合いが取れなくなる。)、昌次(妻夫木聡)とその彼女(蒼井優)が、原作の三男の敬三(大阪志郎)と亡くなった昌次の嫁(原節子)の役割を担うことになる。


 それよりも、とみこ(原作では「とみ」)が68歳で死んでしまうというのが、今では若すぎる。(亡くなった場所も、尾道に帰ってから自宅でという設定から、旅先の東京に代わっているが、それはおいといて)葬式の場で「大往生よね。」という長女・滋子(杉村春子)の言葉はさすが新作では削られているが、「若すぎるよね。」と横で妻がぼやく。確かに、「今、68歳で死なれたら困る!」。


      ○       ○       ○


 今回の作品の出来・内容は、一言で言えば、『息子』と『東京物語』をたして、二で割ったような感じである。渾身の感動作ではある。


  



    
       『東京家族』-公式サイト







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