ルクノス ~ともし火~

日本聖公会 北関東教区 宇都宮聖ヨハネ教会のブログです。

大斎節 第4主日

2006年03月26日 | ショートメッセージ
本日の福音書(ヨハネによる福音書 6:4-23)は、
ひとりの少年が奉げたわずかなパンと魚をイエス様が感謝して多くの人に分け与え、
そのわずかな糧が5,000人を満たして余りがあったという、
いわゆる5,000人の給食という全ての福音書に描かれている奇跡の物語です。

「この人たちに食べさせるには、どこでパンを買えば良いだろうか」
というイエス様の問いかけに、
弟子の一人であるフィリポは、
「めいめいが少しずつ食べるためにも、
200デナリオン分のパンでは足りないでしょう」と答えました。
同じように別の弟子であるアンデレは、
「ここに大麦のパン5つと魚2匹とを持っている少年がいます。
けれどもこんなに大勢の人では、何の役にも立たないでしょう。」
と、言っています。

この二人の弟子の答えは、いずれにしても
「こんなに多くの人を食べさせるのは無理です。」という
否定的な意味を表していると言えます。
しかし、イエス様は、今、ここに与えられたわずかなものによって
大勢の人々を養われ、なお多くの余りが出ました。
これらの食物は、一人の少年が奉げたものです。
二人の弟子たちが「無理です。」と言ったのに対し、
少年は、自分がもっているわずかな食物をすべての人と分かち合うために差し出し、
それをイエス様は、受け入れられ祝福されたのです。

私たち一人一人にも、それぞれ差し出すべき賜物が神様から与えられています。
イエス様が少年を通して食物を分け与えられたように、
神様は私たちをもお使いになるのではないでしょうか。
誇るべきものなどを持たない小さい私たちであっても、
それぞれの賜物を自分自身の中に見出してお奉げする。
これこそが、私たち自身が神様のお働きに参与するということなのだと思います。

執事 マタイ金山昭夫 《2006.3.26 週報より》