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一日一書 482 伊東静雄・寧ろ彼らが私のけふの日を歌ふ

2015-01-09 17:04:49 | 一日一書

 

 

 

伊東静雄「寧ろ彼らが私のけふの日を歌ふ」全文

 

半紙

 

 

全文は以下のとおりです。

 

 

  寧(むし)ろ彼らが私のけふの日を歌ふ


耀かしかつた短い日のことを
ひとびとは歌ふ
ひとびとの思ひ出の中で
それらの日は狡(ずる)く
いい時と場所とをえらんだのだ
ただ一つの沼が世界ぢゆうにひろごり
ひとの目を囚へるいづれもの沼は
それでちつぽけですんだのだ
私はうたはない
短かかつた耀かしい日のことを
寧ろ彼らが私のけふの日を歌ふ

 

 

やはり、伊東静雄の詩は難解ですね。

ただ「私はうたはない/短かかつた耀かしい日のことを」のフレーズに

詩人の切ない心情が込められているのを感じます。

昨日の詩、「咏唱」の、「寛やかな日はまたと来ないだらう」に通じる気持ち。

それらの「嘆き」「諦念」そして「激しい意志」などは

詩集「わたひとに与ふる哀歌」のいずれもの詩に共通するものです。

そこに共感しているのかどうか分かりませんが

何か書こうと思うと、つい伊東静雄の詩になってしまうのです。

 

 

 

 


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