山本洋三「点描」全文
半紙
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全文は以下の通りです。
点描
丘の上の
プールのまわりに
ひろがる緑の芝草の
中に立つ桜の木の下
の陰に横たわる
僕と君
の焼きたてのパンのような肌の上を
涼しい風がすべってゆくと もう
青い空には赤トンボが
宙づりになり
ツクツクボーシがおそるおそる
鳴きはじめ
遠くの丘の上の
白いアパート
の規則正しい窓にサルビアが
咲いている
熱帯魚のように
これも大学生の頃に書いた詩です。
ただし、この詩は、空想ではなく、ほぼ「実景」です。
今はもうない磯子プリンスホテルのプール。
なつかしい。