山本洋三「湖面」より
半紙
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全文は以下の通り。
湖面
湖面に
踊り上がった魚の
一瞬の輝きのうちに
空は
色あせる
友よ
君に語る何事かを
ぼくはどうしても思い出せない
かぶりなれた帽子を
なくした時のように
妙に首筋が寒いんだ
湖面に暗い風が立って
友よ
ぼくはもう二度と語れない言葉を
なくしてしまったようだ
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1972~76年の間に書いた詩です。
都立忠生高校に勤めていた5年間。
この時期は、教師としてはもっとも辛い時期でした。
今、手元にある詩集『夕日のように』を改めてみると
この時期の詩がいちばん多いのです。
まあ、そんなもんでしょうかね。