山本洋三「神話の部屋」より
透明な犬も走り
半紙
かずら筆
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更に2点。
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神話の部屋
球体の鏡にうつる
部屋の隅々に
くまなくとどけられる
光の粒子
白い指につつまれた林檎は
遠近法の空気の中で
浅黄色の酸素を呼吸している
───透明な犬も走り
少女はすべすべする
手の甲に
冷たい森の風を
かんじる
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美術全集で見た絵の印象が元になっている詩だったと思うのですが
その絵は特定できません。
いろいろな絵の印象がごちゃ混ぜのようです。
「透明な犬も走り」というイメージも
確か、何かの絵からだったと思います。
「少女はすべすべする」と「手の甲に」は
また意図的にあいまいにしています。