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一日一書 947 鮎くれてよらで過ぎ行く夜半の門・蕪村

2016-07-29 19:19:21 | 一日一書

 

蕪村

 

鮎くれてよらで過ぎ行く夜半の門

 

半紙

 

 

蕪村の句は物語だとよく言われますが

これなどは、そのひとつでしょう。

 

友達が、夜にふらっとやってきて

鮎をくれた。

どこかで釣ってきたのでしょうか。

ほらっ、と言ってぽんと投げ出し

ちょっと酒でも飲んでいけよと言ったのに

じゃ、と言ってかえっていった、というような情景。

 

「夜半の門」が、自分と友達の間にある。

その門が、友達との交流を促すものでもあり

また断ち切るものでもある。

 

別に喧嘩してるわけじゃない。

だって、鮎をわざわざくれたんだから。

でも、寄っていかないで去っていく。

 

そんな淡い友達との関係が、

鮎の香りの中に描かれている。

しかも、黒々とした門が真ん中にある。

 

いい句です。

 

 

 

 

 


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