如寒者得火
麻衣(あさごろも)さゆる霜夜の埋火(うづみび)も説きおく法(のり)にあたるなりけり
半紙
【題出典】『法華経』薬王品
【題意】 寒き者の火を得たるが如し
(法華経の功徳は、)寒がっている者が火を得たようなものだ。
【歌の通釈】
麻の衣を着て冷え込む霜夜の埋火に向かっても、説かれた法に当たっていると知りなさい。
【考】
題の「火」を冬の「炉火」として詠んだもの。霜降る夜に向かう、春を迎えたような暖かい埋火は、まさに『法華経』の功徳の火である。その炉火に当たっても『法華経』の優れていることを思うといった。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)