戦時中の旧制中学での5月22日は、詔書奉戴記念の日であった。中学生の軍事教練の一環として、この遠行競争が実施された日なのである。真っ暗な夜の午前0時、生徒は校門を一斉にスタートして、一路往復64キロメートルの秩父神社を目指し駆け足で校門を後にした。熊谷辺りまでは皆駆け足で走ったが、その後は歩く姿や休憩する生徒も徐々に散見されるようになってきた。要するに10時ごろまでに神社へ到達すれば完走である。勿論途中で、残念ながら体力に応じて落後する生徒は、途中の秩父線のどの駅からでも、乗車すれば帰校して良いきまりとなっていた。昨日の大雨から、今朝はすっきりカラッと晴れた初夏の爽やかな天気である。若さに躍動する青少年にとって基本体力が判断される大事な行事であった。県に5校しかなかった吾が県立不動岡中学、恐らくその8割の700人余りが目的地に締め切り時間までに、毎年到達したようであり意気盛んであった。そんな青少年学徒に賜りたる詔書奉戴記念日なのであるが、何んとも思い出深く懐かしい!3年間ほど実施されたが、そのうち毎年完走できたのである。この自信が陸士合格入校に繋がったのである。息子の車検の業者を待ち車を渡してから朝食を済ませ、健康保持の為の散歩に行こうと思っている。