初夏は何となく好きだ! 季節の風物詩が目にも外気にも、青葉若葉を初め、季節の花々に感ぜられるからであろう。佐々木信綱の「夏は来ぬ」こそが、その真骨頂であろう。卯の花、ホトトギス早も来鳴きて、忍び音もらす、橘の香る軒端、楝散る川辺の窓、水鶏声して、夕月清しき、五月闇蛍飛び交い、水鶏鳴き、卯の花咲きて、など。これら一言一句皆夫々に風情があり、心地良く感ぜられ、何とも気分が晴れ晴れとし、爽やかさに打たれるのである。東京には、今年もツバメも来ず、ホトトギスなど、トンとその姿は無論、鳴き声すら聞かれない。雀も年々その姿が減少している。自然や小鳥たちの可愛い囀りさえも疎らとなってしまった。今や何とも味気ない人間の暮らしとなってしまったのである。この過少となってしまった自然を何とか取り戻そうと、苦心惨憺し知恵を働かして、自然探訪を試みるより他は道は無いものと思われる。写真は竜舌蘭科のユッカ蘭であり、昔県立不動岡中学時代の中央花壇に、この花が咲いていたことを懐かしく憶ひ出す。