8月11日に、ロンボクでゆいツールボランティア(兼※SAMALASメンバー)が、マングローブ林調査を実施しました。
※SAMALAS TRESNE GUMI:サマラス・トゥリスネ・グミ(通称サマラス)は、ゆいツールのボランティア7名が立ち上げた現地団体
Relawan Yui-Tool (Anggota SAMALAS)telah melakukan penelitian mangrove di Lombok utara.
(調査をする、ティウィ、マデ、オパン、コマン)
(葉の長さを測定するオパン)
これは、今年度実施する「マングローブ林で持続可能な観光を目指すガイド研修」で、参加者と一緒にマングローブ林調査を実施しようと考えていて、その予備練習を兼ね、メンバー自身がマングローブについて知識を深めるために行いました。
調査地点は、サマラス代表のコマンさんが以前偶然立ち寄ったところで、あるとき今まで何も考えずに通っていた道の側に、マングローブらしき木があるのに気づいたそうです。「みんなを誘って見に行きたい」と以前から言われていたため、7月に一緒に下見に行ったのです。
(7月の下見の時に撮影。川の河口付近。マングローブが自生している)
マングローブ林調査、色々な学びがありました。
ひとつは、マングローブ林調査をするときは潮位時間を気にしなければいけない、ということでした。
と言うのも、私たちは何も考えず集合時間を設定して、現地に着いたら「海水がいっぱい」という状況だったからです。
幸い年長のパティとコマンが早めに現地に着いて、調査地点までぐるりと回ってたどり着き、遅れてきたメンバーを待ちながら、一足先にいくつかの種を確認しました。
私は日本で潮位表(下)を確認し、これからの潮の状況をパティに伝えました。
ボランティアたちは、下のリストと照らし合わせて調査を行いました。
ロンボク島に主に自生するマングローブのリスト。(ゆいツール作成)
私が7月にざっと見たところでは、4種類のマングローブが確認できたのですが、実際調査をしてみると私たちが知らないマングローブが2種類見つかりました。
こちらは、代表的なマングローブです。
種の部分が細長くて、タコさんウインナーみたいな帽子をかぶっているのが特徴です。
上のリストで探すと、1番のオヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)であることがわかります。
こちらは、花が終わった後のようです。タコさんウインナーになる前の、萼(がく)の部分の作りがよくわかります。
おや。こちらは?柔らかそうな花びらが特徴です。
萼の中が赤くて、とてもきれいです。
リスト8番の、ベニヤマプシキ(ホソバヤマプシキ)(Sonneratia caseolaris)ですね。
これは、同じ木の実でしょうか。
(調査にはげむコマン)
(リストで確認するマデ)
こちら、羽のような葉っぱが地面から直接生えています。
リスト9番目のニッパヤシです。(Nypa fruticans Wurmb)
これが若い実で、成熟するとこんな感じに。(下)
ゴツゴツです。触ってみたら、とても固かったです。(7月に見つけたときに触ってみました)
花はこちら。(下)細長くて、ぽよぽよしています。
リストの絵と少し違いますね。描き直したほうがいいかもしれません。
さて。今回初めて出会ったマングローブはこちら。葉っぱがギザギザしています。
ティウィの調査票を見てみましょう。
Magrove hollyと書いてあります。ホーリー・マングローブと呼ばれるもののようです。
アカンサスの仲間ですね。Acanthus ebracteatusとAcanthus ilicifoliusがあります。
ティウィは、後者を書いていますが、どちらでしょうか。
専門家に確認したところ、花の色が白なのでAcanthus ebracteatusではないか、ということでした。
もう一つの方は、花の色が青か紫だそうです。(でも、写真を見ると薄ら紫がかって見えますが)
もうひとつの新種(?)はこちら。
どどーん!大きな実がついています。
葉っぱは他のマングローブと同じですが、こんな大きな実は見たことがありません。
専門家に伺ったら、ホウガンヒルギ(Xyloc
ちなみに、専門家とは、国際マングローブ生態系協会(ISME)の日本事務局の事務局長をされている、馬場繁幸先生です。
昨年度、ゆいツールが開発した「マングローブ林環境教育プログラム」の監修もしていただきました。
お忙しい中、いつも些細な質問にもすぐにお返事をくださり、たいへん感謝しています。
さて、次のマングローブはこちらです。
こちらは、パティの調査票によると3番のヒルギダマシ(Avicennia marina)のようです。
実の写真を撮ったのですが、ぶれていて不鮮明でした。
私は、木の根に引っかかっているプラスチックごみがとても気になります。
さて、調査直後にメンバーに電話をして、色々な種類が見つかったことを確認して、調査終了となったのですが。
後日確認すると、それぞれ調査が終わった後に、自分の調べた木について他のメンバーに情報を共有することを忘れていたことがわかりました。
これは、ゆいツールのすべての活動に共通するのですが、打ち合わせでも活動後でも、メンバーが得た情報は必ずすべてのメンバーと共有する、というのが鉄則なのですが、ボランティアたちはまだまだその重要性・必要性が理解できていないため、私が指示書を作って渡していても、「暑かった」「疲れていた」「すっかり忘れていた」ということで、情報をシェアすることを忘れていました。
それでは、目的の半分しか達成していません。おまけに、調査票をまとめてすぐにデータにして送るように伝えたら、「それぞれ持ち帰ってしまった」とパティ。
なんのために調査をするのか。調査結果をどうしたらいいのか。きちんと、自分の頭で考えていないため、そういうミスが起こります。
私は、命令に従うボランティアが欲しいのではなくて、自分の頭で考えて自主的に行動するボランティアでなければいけない、と思っています。
意見がぶつかってわーわー言い合う方が、黙ってボスの指示通りに動くより、何倍も何百倍も大切だと思います。
インドネシア人は意見がぶつかると、お互いに気に触って不機嫌になります。
一般的な話ですが、彼らは、強いリーダー(ボス)が全部を決めて命令を下して欲しい、と思っています。
私は、決定権を持つメンバー同士で意見を交わして、ぶつかって話し合って折り合って進んでいく道の方が好きです。
面倒くさいし、コーディネーターが必要だし、時間がかかるし、ストレスもかかります。
でも、リーダーに全部を決めてもらう組織ではなく、ひとりひとりがきちんと自分の意見を持って、状況を把握して、お互いに協力し合える組織の方が、本当の意味でのストレスは少なく、それぞれの能力が最大限に引き出されていくのではないか、と思います。
リーダーシップよりも、コーディネート力の方がはるかに優れている、という持論です。
ともあれ、ボランティアたちは、自分の目でマングローブを確認し、その特徴を頭に刻んだことでしょう。
この調査を、「マングローブ林で持続可能な観光を目指すガイド研修」のステップ1で実施しようと考えています。(山)
おまけ。(オキナワアナジャコと思われる生き物)
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