混んだ電車の中でも荷物で席を占領する高校生。
あんまり聞きたくないなあというような話を大きな声でしている若者、おばさま。
昨年の4月から公共交通機関での通勤時間が長くなり、いやでも目につく他人の行動。
どうして他の人の迷惑が想像できないんだろうと・・
職場でも・・昔、日本人は勤勉と言われていたのがうそのように明らかに楽をしようとする人や自分勝手な解釈で自分なりの仕事をして周りを困らせている人が増えたように感じます。
年齢に関わらずそんな方は見受けられるけれど、若い人に目立つような気がして、これから日本はどうなるんだろうと心配になります。
それでもあきらめたらいけないので、自分は何ができるか、何をすべきなのかを考えて気になる本を見つけたら、この著者はどう考えているのだろうかとつい読んでしまいます。
この本もカバーの表紙裏「子どもや若者に広がる社会や他人への無関心。協力し、助け合える社会は築けるか。・・・」に魅かれて読んでみました。
「社会力(人と人がつながり社会を作る力)」に関する研究をしてきた先生の著作は、どこにでもある付け焼刃の評論ではなく魅かれるものがありました。
単に問題提起するだけでなく、ご自身が研究のため、あるいは研究の結果として実社会で実践をされており、説得力がある内容だと思いました。
「日本人の社会力が衰弱したのは、社会力が培われ、育てられ、強化される上で、最も重要な”現場"である他者と相互行為する機会と場と時間が極度に少なくなったことにあるといっていい。」と断定され、社会力を育てる取り組みが紹介されています。
人間は社会的動物であるという脳科学者の言葉を引用しながら、社会力を高めるために行った過去の試みを記述しています。
その中で地域でたくさんの人たちが同じように問題意識を持って動いていることがわかって、日本も捨てたもんじゃないよねっと・・
重いテーマながら明るい読後感を残してくれるポジティブな本でした。