本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「財政危機と社会保障」 鈴木亘著

2011-01-19 21:43:39 | 本・雑誌、読書
題名のとおり、日本の財政状況と年金、医療、介護、保育などの社会保障について書かれた本です。
主要なデータが簡潔に掲載されており、数字が苦手な人にも見やすく、内容も重要事項をきちんと押さえて書かれている本だと思います。
現在の日本の社会保障の問題を短時間で把握できます。

高齢者が増えるに従い必ず支出が増える年金、医療、介護について、ある程度将来予想ができていて、どれも今後急速に負担が増えて、それを合算したものを現役世代が負担するとすると勤労所得のかなりの部分が社会保障負担でなくなってしまいます。

そういうほとんど確実な試算があるにも拘らず、各制度で既得権益を持つ団体とどうしても目先の利益を見てしまう国民が見事に改革を拒む構造を作っていて、これはよっぽどのリーダーシップがなければとため息がでるくらいもつれていて、絶望的な気持ちになりました。

小泉改革に言及しているところもありますが、改革の問題点とその影響、逆に成果を上げたところをきちんと分けて書かれており、何が良くて何が悪かったかが理解できます。
そこを読むだけでもこの本がどの立場にも立たず純粋に現状を分析して、今後のあり方を提案している著作だとわかります。

「小泉改革が悪い」と改革すべてを一緒くたに批判するのはやはりおかしい・・悪くなったところが多かったけれど、成果を上げたところもあるはず・・だから冷静な分析が聞きたい。

問題を解決するホームランはないけれど、地道に対応して行くような話だけれど、絵空事のような話ではないからこそ、解決に向かえそうで若干将来が明るく見えます。

コメント
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