本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「ブラック・スワン降臨9.11-3.11インテリジェンス十年戦争」手嶋龍一著

2012-01-22 22:18:38 | 本・雑誌、読書
3.11以降、外交の裏側、主にアメリカのインテリジェンスについて書かれたノンフェクションです。
外交の舞台裏の話は一般人からあまりにもかけ離れた次元の話で、本当かな?と思ってしまうのですが、
外交は国のリーダーの決断で動くものであり、こればかりは一般の国民がいくら頑張ってもどうしようもなく、リーダー、政府、政治家の資質が国際社会の中で自国の位置を決めるということを十分理解しました。

一国のリーダーにリーダーの自覚がなければ、その国民が悲惨な状態におかれることもあります。
リーダーたるべき人がその責任の重さを認識できずに、我が身のことばかり考えているとすれば、それはその人一人だけに止まらず国全体が被害を受けます。

一国のリーダーの決断が、失われなかったかもしれない命を奪い財産を奪うことがあって、その起こったことの重大を認識できず、責任を取ることさえ考えていなかった東日本大震災直後から数カ月の政府。あるいはさかのぼって沖縄の基地問題に関する「トラスト・ミー」発言。

これらは既にマスコミにしたたかに叩かれていますが、それではこれを教訓に二度と過ちを起こさないというリーダーたるべきリーダーがこれから近いうちに現れるかどうか考えると、それは難しそうで、暗い気持ちになります。

領土の争奪戦から国のかたちが定まってきて、いまでも危ういパワーバランス上で国と国との関係が保たれ、その中で今の日本の平和があります。

日本が国際間の紛争に軍事力を行使しないというのであれば、自国の平和を守るためには、軍隊を持つ国以上の交渉力と情報収集能力が必要だと思います。

3.11以降のアメリカの行動、東日本大震災後の日本政府の対応など、表現力が豊か過ぎて現実感を薄めているものの、背景の知識が不足している自分も分かりやすく読める本でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする