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夢七雑録

散歩、旅、紀行文、歴史 雑文 その他

1.巡見使について

2008-04-28 22:17:46 | 巡見使の旅

(1)巡見使とは
 江戸幕府は各藩の情勢を監察するため各地に使いを派遣したが、この役職を巡見使と呼ぶ。江戸幕府による巡見使派遣は、第三代将軍家光の時に始まり、おおむね将軍の代替わりごとに行われたが、幕末には取りやめているので、派遣した回数は9回となっている。第1回の巡見使は、全国を6地域に分け、地域ごとに譜代大名、使番、書院番から各1名を任命したが、第2回以降は、地域ごとに使番、書院番、小姓組から各1名を任命している。また、第3回以降は、全国を8地域に分けて、各地域3名の巡見使を派遣している。

(2)巡見使の役目
 巡見使が監察する項目は、政治の善悪、禁教と治安の維持、雑税の有無、物価、刑罰、買占めの有無、金銀米銭相場、高札場の有無などであった。ただし、領主の主権を侵さないよう留意し、各藩を巡見する際には直訴や訴状は受け付けないことにしていた。巡見の結果は幕府に報告され、その内容次第では領地没収となることもあった。

(3)巡見にあたっての心得
 巡見使の派遣に当たって、江戸幕府は各藩の負担にならないよう配慮もしている。道や橋は通行できればよく清掃も不要とし、宿舎や茶屋の新設や修理も不要、什器は古いものでよいとした。また、領主よりの使者は不要とし、贈り物も禁じている。ただ、藩の側からすれば、これを正直に受け取るべきかどうか、迷うところであったらしい。

(4)巡見使による情報収集
 各藩を監察する巡見使の経路は初期を除き毎回ほぼ同じであった。巡見使は、案内者である名主や村役人に随時質問して情報を収集したが、各藩では、都合の悪いことが知られないよう、事前に想定問答集を作成し、その範囲内で案内者に回答させるようにしていた。

(5)幕府直轄地を監察する巡見使
 巡見使には各藩を巡見する巡見使(諸国巡見使、御国廻り衆などと称する)とは別に、幕府の直轄地を巡見して代官を監察する巡見使(御料巡見使、小巡見などと称する)があった。御料巡見使は、諸国巡見使と同時期に発令されることがあり、経路の一部が重複する場合もあった。御料巡見使は詳細な監察を行い、直訴や訴状があれば受け取りを義務付けられていた。結果、問題があれば代官は指弾され、また罷免されることもあった。

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