
ハマユウらしいものをお預かりしていたのですが、見事に咲きました。

昨年8月に牧師夫人がいただいたということで、管理ができないからということでお預かりしました。ハマユウは当地には自生していません。それは当地が寒すぎるからです。
また10年近く前にハマユウの種をいただき苗を起こしましたが、いまだ花が咲きません。ということで冬季は廊下に取り込み、春になって屋外に出しておいたところ、

7月26日に大きな蕾が出ているのに気づきました。花弁の色からピンクの花であることがはっきりしました。じつは赤系の花であることは、葉の折れ目が濃い茶色になっていたのでそれとなくはわかったのです。
それで、ネットで赤系の花を咲かせるのはもしかしてインドハマユウではないかと推量し、花が咲いたら名前を確認しようと待っていたのでした。

花はとてもやさしいピンク色です。早速ネットで調べました。日本語のネットで調べてゆくうちに疑問が湧いてきました。インドハマユウとアフリカハマユウというのがあって、両者は別物とあったり、両者は同じ物であったりして、さっぱりわかりません。

仕方なく関連しそうないくつかの学名から外国のページを探り、どうやらこの花が、Crinum × powellii(パウエリー) ではないかと思うに至りました。
Crinum × powellii(パウエリー) は両親ともにアフリカハマユウです。もしこの花がパウエリーであるならアフリカハマユウの園芸種ということですね。
Crinum × powellii(パウエリー)はCrinum longifolium(Crinum bullbispermumと同じ?)を種子親に、Crinum mooreiを花粉親として交配したものということです。
この両者は耐寒性も日本のハマユウよりもあるということです。そして、その子のパウエリーは両親よりもすぐれた耐寒性をもっているとか。冬季は屋内に取り込んだとは言っても、こんなにきれいな花を咲かせるとはさすがですね。
牧師夫人から送り主へ花の咲いたことをお伝えしたところお喜びになっておられたということでした。物言わぬ花ですが、千の言葉にもまさる微笑みで人と人とを優しくつないでくれました。

なぜ、日本語のネット検索ではアフリカハマユウとインドハマユウが混同されているのか?
調べてみましたらある植物学者がアフリカハマユウをインドハマユウとしてしまったことに端を発したために、多くの図鑑も長い間名前はインドハマユウで写真はアフリカハマユウ、説明は?ということで、園芸界にも混乱が広がりました。これには疑問がいだかれ、のちにやはりアフリカハマユウであったとわかったのですが、いまだにアフリカハマユウ=インドハマユウなどと説明されている図鑑やネットがあることがわかってきました。 この辺のことが慾斎研究会だより 2009年NO.119に詳しく書いてありました。