第五章で取り上げられる聴けない話を続ける70代男性との事例では、
何か月間かクライアントの話し続ける、カルチャーセンターなどで聞いた「ユング心理学の話」
を聞き続けても、相手の言うことがどうにもわからず、睡魔に襲われるので、
「あなたの話はわからない」と言うと、そのクライアントはショックを受け
「自閉症のようになった」「もう来ない」と言うのだが、それに対してセラピストは
「このままでは終われない」と返したとの事だが、もし来なくなり、
ほかの無能な医師や心理士、自称セラピストなどにかかれば、
あれこれいじられ、ああすれば良くなる、こうすればいい、などになったりして、
今より悪くなることもありそうな事を、ある程度予想したという点もありそうである。
偶然とはいえ、職業で関わったのだから、そのようなことが起きうることを考えると、
ほっておく訳にはいかないという事もあったのだろう。
その辺りが、著者たちの言う、これまでの心理療法というもの自体をを考え直す、
という点だろう。
ジュディス・ハーマンなどの影響も受けていそうである。