何気なく図書館で見つけて読んでみましたが、著者が療育関係者から勧められて行った、
自閉症の子供への対応が、こちらがこれまでに読んだ様々な臨床心理や哲学の本に
書かれていた事と合っているか、それよりも進化していることが意外でした。
言葉が未成立な自閉的傾向の子供が親の手を取り、クレーン現象をする際に、
相手の欲していることを親が言語化して対応するなどは、こちらが知っていた事よりも
発達している内容でした。
療育関係者が、いろいろな所で研修を受けたことが大きく影響しているのでしょう。
自閉症児が言語を身に着けておらず、言語を基に成り立っている人間の世界に
入ってこれていないという事を、療育関係者も知っているというのが予想外でした。
自己と周囲が未分化であるとか、主体が未生成という深い知識が無くても
かなり有効に対応できるという事が例示されている一冊でした。