今日という一日

書くことが大好き!日々の気づきを楽しく書いていきます。

アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ3日-2

2009-10-15 00:18:44 | アラスカ

隣のボーイズチームのテントは、気がついたときには、跡形もなくなっていた。

テントがあった場所に残っているのは、荷物を詰めた防水加工の色鮮やかなバックと、さっきまでそこで寝ていたであろう、タローさんとカネゴンとナッツ。

昨日のキャンプファイアーの夜に、みんなの強い希望で、明日の朝は最後の氷河アタックをやってもらえることになった。その条件として、朝7時までに荷物をバックに詰めて、テントも片付けて、朝食を済ませたらすぐに出航できるようにしておくことを約束させられた。

彼らはこの雨の中、お約束通り、シーカヤックで出航する気、満々なのである。

行っても氷河見れるのかなぁ。雨降っているし、寒そう。どうしよう……

          

「アラスカは危険と隣合わせなので、迷ったら無理をせず、無事生還すること」 という言葉が思い出された。

無理するのはやめよう!

ということで、チームのみんながカヤックで出航していく中、私はお留守番をする事に決めた。

「行ってらっしゃーい!」と見送る時は、昨日までチーム全員が共有できたことを、共有できない寂しさがあったけど、直感で、『やりたくない』、と思ったことは極力やらないようにしようと思っているので、今回はパス!

ブレッドと二人で、おしゃべりをしながら、朝食の後片付けを手伝った。食器を海で洗う、テーブルをたたむ、荷物を運ぶ、椅子をまとめて運ぶ。ブレッドの指示で、二人でのんびり、ゆっくり、時間を気にすることなく、片付ける時間を楽しんだ。

使ったものや、散らかったものが、きれいに片付いていくのは、ゲームをやっているようで楽しい。

いつもは人に指示をする立場なのだが、久しぶりに、「あれやって、これやって」、と言われて、「はーい」、と言いながら、「これでいい?」、「GOOD JOB !」、なんて言われると、嬉しくって新鮮な気分

無人島に二人だけ気分を味わっていたら、ブレッドが海の右の方を指差して、「彼らが帰ってきたよ」、と言った。裸眼では見つけることができず、双眼鏡を使って見たが、やっぱりそれらしきものが見つからない。「ブレッドの勘違いじゃないの」、と思って海岸沿いをお散歩しながらトイレに向かって、帰ってきたら、カヤック4隻が海の右側に見えた。一体ブレッドの視力はどうなっているんだ?

みんなが満足した表情で帰ってきた。無事で良かった!悪天候だったが、天気のいい時とは別の、荒々しい、少し恐怖を感じるほどの、切立った迫力ある氷河を見ることができたようだ。

          

          

                              (ナッツのアルバムより)


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ3日 - 1

2009-10-14 22:58:57 | アラスカ

8月13日(木)キャンプ3日目

テントの屋根を叩く小さな音

パチパチ、プツプツ、テンテン、

音が大きくなったり、小さくなったり

何の音?海の音?氷がはじける音?

もしかして 雨?

夢うつつの状態から、だんだん目が覚めて

あー、これは雨の音だと気づいた

テントのドアを開けると一面真っ白な世界

氷河はどこにも見えない

昨日までの2日間の晴天がうそのよう

お願い、もう1回姿を現して …

          

               (低い雲の下から、一瞬顔を覗かせた氷河)


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-7

2009-10-13 00:27:37 | アラスカ

そぼ降る小雨の中、小さな篝火のようなキャンプファイアーが作られた。

          

こんな小さな火でも、火がある景色って、空気全体を暖かく穏やかに包んでくれる優しさがある。海の大きさ、氷河の雄大さに比べて、小さな火が、健気にパチパチ小さな音を立てて、頑張っている姿が愛おしくて、温かい気持ちになった。

          

今日のデザートはチョコレートムースのタルト、キュウイとチョコレート添え。簡単なデザートだけど、キャンプ場でこれが出てきたら、高感度一気に急上昇。26キロ強行軍の疲れもこれでバッチリ取れます。

          

火に見守られながら、少しずつ夜が更けていった。

涼子さんが 星野道夫の「旅をする木」から『もうひとつの時間』の一節を読んで聞かせてくれた。

 「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろう。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」

 「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

 「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆく事だって… その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

自然の中に包まれながら、ぼんやりと考えた。

自分の人生が、幸せで恵まれていること

アラスカにやってきて、ここでキャンプができる私達は、本当に恵まれているということ

お金では買えない、自由、空気、時間、仲間 がここにはある

幸せな時間、贅沢な時間

ここに来ることができたことに感謝

私は私で良かった

いろいろあったけど、この人生で良かった … 

と素直に思ったキャンプファイアーの夜


アラスカへの旅-シーカヤックキャンプ2日-6

2009-10-12 21:11:10 | アラスカ

          

さて、神秘ゾーンを後にした私達に残された任務は、元来た航路をキャンプ場まで戻ること。目を凝らしてみても、延々と水平線が見えるばかりで、目的地すら見えない。

いち早く体力の限界を感じてしまった私は、漕ぎ続けることができなくて、休みがちになってしまった。

ナッツが後ろから、「休みが多くなりましたね」「帰るしかないので、漕ぐしかないですよね」ってボソボソって言った言葉に、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。だったら漕げって。そうですよね。反省!

          

私をColeman Bay まで汗だくになって連れて行ってくれた、若き漕ぎ手です。ありがとう!

          

引き潮の時間に合わせて、出発進行! (18:19)

          

ようやくAialik Glacier が見えてきた。もうすぐだ! (20:35)

12時にキャンプ地を出航して、往復26キロを漕ぎ続け、帰着は21時。半端じゃなくすごいことをやったことに改めて自我自賛。よくやったなぁ。(感慨深い) あっ、もちろん私じゃなくて、ナッツが偉いんですけどね。


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-5

2009-10-12 20:04:47 | アラスカ

入り江の入り口に入った瞬間から、別世界を感じた。

          

信じられない光景

青い氷の彫刻

氷の宮殿

見てはいけない神秘ゾーンに迷い込んでしまったかの様

神さま、ごめんなさい

見ていいですか?

罰当たりませんか?

          

          

氷の宮殿の住人は、ならず者の来訪者を見張っている鳥達とアザラシ

ここにいるのはそれだけ、他には誰もいない

水の音も、空気の音も、全ての音が地球上から消え去って、

音のない世界を、静かに静かに、少しずつ、そおっとそおっと

ばれないように、脅かさないように 少しずつ進んだ

               

ありがとう、みんな。

今日ここに来ることができて、こんな幸運に巡りあえた事を、心から感謝

http://www.youtube.com/watch?v=UpkY2Z4KZWE

http://www.youtube.com/watch?v=Av_U-jlvAos

ナッツが後ろで一人で汗だくになって、カヤックを漕いでくれたお陰で、2分以上の動画が取れました。ナッツありがとう!


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-4

2009-10-10 02:15:29 | アラスカ

洞窟を抜けて、巴投げ5段チーム、大海原へ向けて出航!

          

          

そして、アザラシの応援を受けた。

          

          

目指す氷河がようやく見えてきた。あれだー!

               

その前に、ビーチに上陸して、ランチとトイレ休憩。ビーチから海を眺めて、「えっ、本当にこんなでっかい海を渡ってきたの?」、と感慨深く、海を見つめる隊員一同。

          

ランチはベーグルサンドイッチ。クリームチーズをたっぷりつけて、サーモンをのせて、ケッパーものせて、ガブリ!お・い・し・い

もちろんトイレなんかあるわけない無人のビーチなので、初野外おしっこも経験した。たえちゃんが、「くまさん、くまさん、来ないでね」と歌ってくれていたので、くまにおしっこを見つかることもなく、無事に用が足せた。

さあ、それではいよいよハイライトとなる氷河へ出発進行!

 

ところで今日でブログ開設500日目。トータルPVは15000となりました。良く続いたなぁ。アラスカ旅行記も残すところあと1日半。もう少し頑張ろう!


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-3

2009-10-08 23:37:44 | アラスカ

満を持して「巴投げ5段」チーム出航!

          

今日は氷河に背を向けて、南に南下して、大海原を渡る往復約26キロの航程になるらしい。何が待ち受けているのか、どこまで行くのか全く予想のつかない大冒険に、ワクワクドキドキしていると、まず第一の関門。心臓破りの洞窟だ。

一見するとディズニーランドのジャングルクルーズにありそうな洞窟。潮の流れに身を任せていれば、軽く通り抜けられそうな洞窟で、私の頭の中では 「イッツ ア スモール ワールド」のテーマ音楽が流れていて、暢気に動画なんか撮って、楽しんでいたのだが、実はあわや大惨事になる寸でのところで危機を回避するという、心臓が凍りつくような事故が起きたかもしれないことを知ったのは、洞窟を潜り抜けて、涼子さんがまじに青ざめているのを見た時だった。

私達のカヤックが前に進まないので、後ろの舟がぶつかる寸前だったらしい。ぶつかって転覆していたらどうなっていたんだろう、と考えると今でもヒヤッとするが、後ろの人はさぞかし怖かったでしょうね。すみません、許してください。

ではその原因となった証拠の動画。

無事だったんだから、もう水に(アラスカの海に)流してくれるかな?

http://www.youtube.com/user/myyukko901#

 


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-2

2009-10-07 00:00:46 | アラスカ

ところで、テントについて。

          

日本に帰ってきて、友人が口を揃えて聞くのは、「テントどうだった?」である。友人達の期待は、「寒い上に、背中がゴロゴロして、とても寝れる状態じゃなかったでしょ。お気の毒~」 であることは明白だったのだが、答えは 『ノー』。

天候にも恵まれたので、持って行った服を全部重ね着する必要もなく、下着に1枚長袖Tシャツを着るぐらいで十分暖かい。その上羽毛がしっかり入った、The North Face の寝袋は保温性抜群。寝袋に入った瞬間から「あったかーい」状態。さすがは高級ブランド寝袋。実力の程をしっかり体験させてもらいました。

そして特筆すべきは、寝袋の下に入れた空気マット。これを敷くと、地面の冷たさも石のゴロゴロも関係なし。涼子さんに「パンパンになるぐらいまで膨らませた方がいい」と言われ、顔を真っ赤にして空気を入れた甲斐があって、安眠どころか熟睡を手に入れることが出来ました。自分でも信じられないけど、ホテルのベッドよりも熟睡できたのです。これホント!今時のアウトドア製品の性能の高さには驚くばかりだ。       

昨日の疲れもすっかり取れ、目覚めはバッチリ。「あー、お腹すいたなぁ」、と思ってビーチの中央を見ると、もうすでにブレッドとGが朝食の準備を始めてくれている。氷河で、上げ膳据え膳、あーなんて贅沢、なんて幸せ。

朝食の後は、氷河に向かって歯磨きタイム。き・も・ち・い・い!

そして日課となった、連れトイレ。熊スプレーとトイレットペーパーを持って、ガールズ3人で、海岸から少し離れたところにあるトイレまでお散歩。キャンプ場にトイレがないことは覚悟の上だったが、あって良かった、助かった!

          

今日は、昨日とは反対の方向にシーカヤックで行って、別の氷河を見ることになった。満潮のタイミングでのみ通り抜けられる岩場を抜けての大冒険旅行になるらしい。潮の流れを読んで、出発は12時と決まった。それまで、ゆっくりビーチでリラックスタイム。

          

涼子さんに、「ヨガやって」、と思いもよらぬことを言われた。「ここでヨガ?」、と戸惑ったが、三角体側伸ばし、ねじりのポーズ、太陽礼拝とやってみた。

超きもちいい!

三角体側伸ばしのポーズで、下から氷河を見上げ、お腹の底から深呼吸すると、体中の空気が入れ替わった感じがした。氷河の空気が体中の隅々まで行き届いて、浄化された。

不思議なことに4年近くもヨガをやっていると、体の動かし方、呼吸法、ヨガの先生がいつも言っているセリフまで覚えてしまっていることに気がついた。いつの間にか、人にも教えることができるようになっていることを発見したのは、思わぬ副産物。繰り返し、やり続けることの重要性を氷河に来て実感させてもらった。大きな発見!

ヨガをやっていたことが、こんなところで役に立つなんて…。ずっとやっていて良かったと心から氷河に向かって、氷河礼拝したのでした。


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ2日-1

2009-10-06 19:41:44 | アラスカ

8月12日(水) キャンプ2日目の朝 曇り  

          

                                                (テントから見る氷河 am 8:33)

朝起きると、目の前に広がる昨日と同じ氷河

静かな朝 鳥の声 波の音 氷のはじける音

風の音 滝の流れる音

水の上から鳥が飛び立つ音

誰かが私のテントの前の砂を踏みしめて、ザッザッ と歩く音

これは夢 それとも まぼろし?

雲が低く垂れ下がっていて、どんよりしているけど

この風景が 静けさを 空気全体に伝えている

私の意識と同じように もうろうとして

動き出す前の この止まった朝が愛おしくて

もう少し もう少し 

お願い 私の意識よ 覚めないで


アラスカへの旅 - シーカヤックキャンプ1日-6

2009-10-04 23:58:33 | アラスカ

そして、いよいよ待ちに待った「氷河オンザロック」。

さっきまで海を漂っていた、正真正銘、本物の氷河で作ったオンザロック。酒飲みの夢。

               

                            (ナッツのアルバム)

海に漂っている氷河のかけらから聞こえる、パチパチパチパチという、気泡がはじける心地よい音が、グラスの中からも聞こえた。2000年分の気泡がはじけて、ウィスキーと絡み合って、喉を通って胃袋に…。信じられないぐらい贅沢なウィスキーと、贅沢な時間。

          

                                   (ナッツのアルバム)

          

            夕食はアラスカサーモンのベークドポテト添え。

何もすることのない夜。そこにある景色を眺めているだけで、時間が過ぎていく夜。目を開けて氷河を感じ、目を閉じて氷河を感じ、飽きることのない贅沢な夜は、白夜の夜が更ける23時まで、静かにゆっくり続いていった。

          

                                                                                               (21:18)