ヨーロッパで起きているアリとキリギリスの話
こつこつ働くのが大嫌いなキリギリスにお金を貸していたアリさんが、借金を半分におまけしてあげると申し出たところ、キリギリスは「その申し出を受けるかどうかは家族会議を開いてから決める」と言い出し、アリさんの堪忍袋の緒が切れて…、という事件が起きていたのは昨日のこと。
キリギリスとして一躍有名になってしまったギリシャの国民性はこんな感じらしいです。
・明るく楽観的で人が良い
・先のことを考えない
・時間を守らない
・仕事時間より休憩時間のほうが長い
・失敗すると他人のせいにし、立ち直りが早い
・すべてにおいてルーズなのに、金銭が絡むとうるさい
一方救済する側として、がんばっているアリさん大国ドイツは、国民にこんな比喩を用いて救済を納得してもらおうとしたらしいです。
ロードス島の空は灰色の雲に覆われていた。
どしゃぶりの雨の中、通りはひっそりと静まり返るばかり。
青い空と海を誇った楽園の地はいったいどこへいってしまったのだろう。
それもこれも、すべては時代のせいなのだ。
借金まみれの生活は悲惨極まりない。
そんな中、金持ちのドイツ人が休暇でロードス島にやってきた。彼は一軒の小さなホテルの前に黒光りするメルセデスを停めるとホテルへ入っていった。
ドイツ人はホテルの支配人に部屋を見せてくれるよう頼むと、おもむろに100ユーロ紙幣を取り出し、保証金としてカウンターの上に置いた。
ホテルの支配人はドイツ人にいくつかの鍵を渡した。
①客が階段を上って行くと、やにわに支配人は100ユーロ紙幣を掴み、隣の肉屋に走っていって、借りていたツケを支払った。
②肉屋の主人はその100ユーロ紙幣を持って農家を訪れ、未払い金を支払った。
③農夫はその100ユーロ紙幣を持って協同組合へ行き、借入金の返済を行った。
④協同組合の理事長はその100ユーロ紙幣を持って、酒場へと走って行き、自分の飲み代を支払った。
⑤酒場の主人はカウンターに腰掛けている売春婦の一人にその紙幣を差出した。彼は止まり木を提供する代わりにツケで何度かサービスを受けていたのだ。
⑥売春婦はホテルへと走って行くと、未払いの部屋代として100ユーロ紙幣をホテルの支配人に支払った。
⑦ホテルの支配人はその100ユーロ紙幣を再びカウンターの上に置いた。
ちょうどその時、くだんのドイツ人観光客が階段を降りて来て、その100ユーロ紙幣を財布にしまいながら、気に入った部屋がなかったことを告げた。
そして彼は颯爽とメルセデスに乗りこむとロードス島を去っていった。
◆誰かが何かを作り出してはいない。
◆誰かが何かを儲けたわけではない。
◆しかし関係者たちは皆、自分の負債から解放され、未来への展望を開くことができた。
さて、諸君、これで分かっただろう。
EU諸国によるギリシャへの金融支援策はこのように機能するのだよ。
大人な対応ですね。さすがはドイツ人。
ところでキリギリスがちゃんと働く日は来るのでしょうか?私が読んだディズニーの童話は、困っているキリギリスに心優しいアリさんが餌を与えて、キリギリスは自分の行為を反省してお礼にバイオリンを弾くというものだったと記憶していますが、実はオリジナルの結末は、キリギリスは餓死してしまうそうです。
21世紀の結末はどうなるのでしょうか?