確か数ヶ月ぐらい前に放送された 「世界の日本人妻は見た」 のモンゴル編で、世にも奇妙な光景を目にしました。
それは新宿区出身の久子さんという遊牧民と結婚した日本人妻が、週末は旦那と息子と一緒にゲルでデールを着て遊牧生活をし、
平日は息子の学校のためにウランバートルにある近代的なマンションで、電化製品に囲まれた生活をするというもの。
『なんじゃこりゃ?』
そして、小学生の息子は、学校の授業参観で、「将来はお父さんのようになって草原で暮らすのが夢だ」 と語っていた。
マンションでテレビゲームやって、有名小学校に通っているのに、草原で遊牧が夢?
それを見て、お母さんの久子さんはわが子の成長にニコニコ顔。
なんだ、この奇妙なバランス感覚は?
と、めっちゃビックリしたのですが、モンゴルに行って、遊牧と近代化のバランスが分かったような気がしました。
まず、ウランバートルと遊牧民の暮らす草原地帯が結構近い。ウランバートルの中心から車で30分~1時間ぐらい走れば、
あっという間に草原地帯に早変わりするのです。
これを東京に例えると、東京駅から新宿あたりでコンクリートの建物がなくなり、中野辺りから草原になるっていう感覚でしょうか?
要するに、遊牧をやっている人たちも、実はすぐ隣にある近代的な街にも日常的に通っていて、良く知っているということです。
その上で、あえてウランバートルを避けて、のんびりした草原の遊牧生活を選んでいるというイメージを受けました。
なので、ゲルに住んでいる遊牧民は、貧しい生活を強いられていると言うわけではない(なさそう)
よって、大人も子供も悲壮感ゼロ。お腹の底から陽気で明るくて、エンジョイ草原ライフなのです。
お風呂がなくても、トイレがボットンでも、テレビも冷蔵庫もなくても、それでも草原での伝統的な生活の方がいいという感じ。
こんな草原ライフをしていても、子供の教育にかける熱意は並々ならぬものがあり、子供の将来の選択肢を広げるために
教育は不可欠と考える親が多く、就学率も高いと聞きました。
だから久子さんの息子も、ゲルと都会を往復する変な生活をしながら学校に通うわけです。
実際、私たちが訪問した遊牧民の9歳の少年も、9月になって学校が始まると、おじいちゃんの住んでいるウランバートルに移り、
親とは離れて暮らして、学校に通っているって言っていました。
なるほどね~。
実際、ウランバートルに戻り、車の洪水とクラクションのけたたましい騒音の中にいると、私ですら、静かな草原に戻りたい気持ちが
芽生えてきました。
都会の小学校に通っていても、『将来はお父さんのような遊牧民になりたい』 という子供の気持ち。
なるほどね~、ちょっと分かりました。