「ミズエチャンから来てるって聞いたから」と、ヒロミチャンからの電話。
とっくに廃業している喫茶店を指定してきたから、最後に話したのは何年前だろう。
彼女は耳からの観賞、私は目からの観賞が趣味。
彼女は動いていないと生きている気がしないタイプ。
私はぼんやりする時間がないと生きている気がしないタイプ。
外見は似たタイプに見えるけれど、実は全く違う二人。でもどこか気が合うから付き合いは長い。時間は一気に縮まって。
最後にお母さんどうしてる?ってことになって。
彼女。
「おばあちゃんね、もうがんばるの、いやんなった。って言うのよ」
あああ・・・・ここでも。
「おいくつになったの?」
「94よ。おばあちゃんの周りの人がこのところ軽くあちらに行ってるからね」
94歳での一人暮らし。
身の回りすべての一人暮らし365日。春夏秋冬。
楽しみも何もないとおっしゃるそうだ。
「がんばるの、いやんなった。」
そのお気持ちは容易に想像できる。分かる気がする。
でもね、まだ意地があるから大丈夫だと思う。意地が無くなったらその時はおしまいね。新しく買った血圧計もお風呂の機械の使い方も教えたらすぐにできたの、すごいでしょ。
ほんと、それはすごい。94歳で新しいことを覚えられるなんて意地がある。
それでも。
デイサービスにようよう通うようになったそうだから、ひとりで頑張らなくてもいいよう、いやんならなくていいよう、多くの人の助けを借りて日々を過ごしてほしいと心から願うのです。