付き合いが長くなっても「えっ?」と思うことや「そうなの」と初めて知ることが多々。
この年になったから言うけどさ、と切り出したりして。ワハハと笑い飛ばす。
1月にご主人を亡くした人に「その後どう?」と聞いた。
さっぱりきっぱりの人だから、率直に聞いてもなんの気遣いもしなくて済むのよ。
「もおう、幸せよ。ひとりって素晴らしいわよ、ねえ!」
と、もうひとりの同僚に。彼女は10年以上前にご主人を不慮の事故で亡くしている。
「そうね、気楽だわね、自由よ」って。
意地悪な私はさらに聞く。
「ほらよく言うじゃない、淋しさと孤独と隣り合わせだって、そう?」
「ぜんぜーん」
あっけらかんとしていて気持ちがいい。
「娘がね、気を遣っておいでって言ってくれるのよ。
前は泊まっていたけど落ち着かないの、嫌なの、早く帰りたいの。
で、今は10時になっても11時になっても帰って来るのよ。
家に帰るとほっとするわ、家がいちばん」
「朝?布団の中で暴れん坊将軍見るでしょ。それからまた寝て。好きにできるじゃない」
朝ご飯食べてるときにああ幸せっておもうわ」
そうか、ひとりってしあわせ。そうかと深く頷く。
今日の定例会で彼女が遅れてきた理由は、「娘の所に持っていく晩御飯作ってたのよ」ですって。
私なんか観光旅行は主人とは行かないわ。と同僚のひとり。すぐに合いの手が入る。
「場所が変わるだけだものね」まことに似ても焼いても喰えない。
なーんも話すことないもの。そっか。
えっ旅行?ゴルフのときだけはいっしょに行くの。
って。そんな彼女は10月初め、ご主人とボストンへ1週間の旅をしてきたそうだ。
あっけらかんの同僚は言う。
「でもね、身体が動かなくなったら施設に入るんだなと思うわよ」って。聞いた途端いっせいに、
「そりゃああなただけじゃないわよ。ひとりになったらみんな同じよ」
煮ても焼いても喰えないおばさん同士は丁々発止とやりあって共感し合って。
じゃあまたねと2時間で解散、長居はしない。