まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

今村翔吾著『塞王の楯』『幸村を討て』『じんかん』

2023-01-15 09:07:15 | 

新庄藩火消頭"火喰鳥"松永源吾率いる"ぼろ鳶"と揶揄される寄せ集めの火消集団が活躍
する『羽州ぼろ鳶組』シリーズが面白くて、次々と読んでいくうちに他の今村翔吾作品
にも手を
出し始めて。
なにしろぐいぐい圧倒的に引っ張っていくストーリーが面白くて、分厚い本もするする読めるというもの。
1冊読み終わると「次はどの本にしようか」という楽しみが待っている。

時代小説は、江戸情緒に浸りたくて、人情をしみじみ味わいたくて、市井ものか捕り物しか
読まなかったのに。今村さんの創り出す物語が面白くて、すっかり戦国もの武将の活躍と
いう分野を読むようになったのは、我ながらいったいどうした風の吹き回しかと不思議。

どこまでが史実でどこの部分が作者の創造かはおいといて、私のように歴史を知らないものは、
純粋に物語としてとらえるので面白さは倍増する。

私の感想は3冊とも「面白い!わくわくする!」で括られるから、ネットから拝借した
あらすじを読んだ順番に紹介して。

まず読んだのが 『塞王の楯』第166回直木賞受賞。
やはり群を抜く面白さ。

幼い頃、落城によって家族を喪った石工の匡介(きょうすけ)。
彼は「絶対に破られない石垣」を作れば、世から戦を無くせると考えていた。
一方、戦で父を喪った鉄砲職人の彦九郎(げんくろう)は「どんな城も落とす砲」で人を殺し、
その恐怖を天下に知らしめれば、戦をする者はいなくなると考えていた。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次に琵琶湖畔にある大津城の石垣の
改修を任される。

攻め手の石田三成は、彦九郎に鉄砲作りを依頼した。
乱世に終止符を打つという理想は共通しているものの、その方法が正反対の匡介と彦九郎は
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、信念をかけた職人の対決が幕を開ける。
「最強の楯」×「至高の矛」
近江の国・大津城を舞台に、石垣職人“穴太衆”と鉄砲職人“国友衆”の宿命の対決を描く。

 

幸村を討て 受賞後の第一作

亡き昌幸とその次男幸村―何年にもわたる真田父子の企みを読めず、翻弄される諸将。
徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永、ついには昌幸の長男
信之までもが、口々に叫んだ。「幸村を討て!」と...。
戦国最後の戦いを通じて描く、親子、兄弟、そして「家」をめぐる、切なくも手に汗握る物語。

歴史に疎くおまけに興味もないという体たらくだから、真田幸村親子のことなんか名前だけ
の知識。7人の武将各々がそれぞれの意図をもって「幸村を討て」と。面白かった。
こうなりゃ、池波正太郎さんの「真田太平記」を読むしかないかって。
だってね、今村さんはこうおっしゃる。
「僕は小学校五年の時に『真田太平記』(新潮文庫)を読んだのが池波先生との最初の出会い」と。
すごいもんだわね。

 

じんかん』第11回山田風太郎賞受賞

「人間」にんげんと読めば一個の人を指す。
「じんかん」とは人と人が織りなす間、つまりこの世という意味。それがタイトルに。

幼いころ瀕死の九兵衛を助けてくれた摂津国本山寺住職、宗慶との今生の別れの言葉。
九兵衛「宗慶様、もう暫く人間を堪能いたします」
   「お主らしいな。先に暇をもらうとする」
   「ゆるりと来い。達者でな」

各章の冒頭は織田信長が小姓頭のひとり狩野又九郎に語りかける、信長は、かつて久秀と
語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。という形で物語は展開する。

信長が徳川家康に久秀を紹介する際に言った言葉。
「この老人は常人では一つとして為せないことを三つもしておる。主家(三好家)を乗っ取り、
将軍(足利義輝)を誅殺し、そして奈良の大仏を焼いた。まったく油断のならぬ人よ。」

仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。
民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした」青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?

「主人公がどこの誰ともわからぬ九兵衛である前半が抜群に面白く、彼が松永久秀だと
わかってしまってからの後半は、豪腕の今村さんも少し史実に遠慮してしまったみたいで、
読み心地が変わりました。」宮部みゆき評

ごめんなさい宮部さん、恐れ多くもまったく同じ感想を持ったので引用させていただきました。
直木賞の候補作にはなったけれど、残念という結果は分かる気がする。

斎王の盾が受賞は当然だわ、なんて偉そうだけれど。

もうしばらく今村作品を追いかけるか、しばらくお休みするか。どうするか自分。

 

 

 

 

コメント
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