まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

ほんの少しの心遣いを

2023-03-29 09:01:41 | くらし

金曜日の夕方、教室からの帰り。
JR改札口を出てすぐのバスロータリー、こまわりくんバス停前に並ぼうとした。
と、60代とおぼしきご夫婦が、頭を寄せ合ってなにやら話しながら並ぶでもなくの微妙な
立ち位置にいる。
「並んでます?」と声をかけると、このバス停は○行きかと訊ねてきた。
話を聞くと熊本から出てきて息子の家に行くところだと言う。降車バス停が私の自宅バス停
よりひとつ前だから、一緒に乗って一緒に降りましょう、となってバス待ち。

奥様は「疲れてしまって」と何度も口にする。
そりゃあそうよね、熊本から出てきたそうだから。遠かったですものね、と言ったら、
「昨日は箱根に泊ったんです、息子がいいところだというから。でも私らが住んでいる
ところと変わりなかった・・・」ですって。
阿蘇市にお住まいだそうだ。もう思わず笑ってしまった。それはそれはそのとおりかもだわ。
ご主人は盛んにスマホ検索している。この時点で内心少しは思っていたの。

ミニバスこまわりくん乗車。小さなバスに驚いている。
息子さんの家近くのバス停で降りた、そこから少し歩きながら話した。
息子さんの家はバス停のすぐ近くだと、何度も繰り返す。お孫さんに会えますね、と言ったら
「お正月に来たんですよ、今回は息子が家を見てほしいと言うから出てきたんです」って。
とそこで、ご主人がスマホ地図を見せてくれて。
あらあ、息子さんの家がとんでもない場所に示されている。現在地と正反対の場所。

思わず立ち止まって、私は内心焦りながらご夫婦に確かめた。
どこ行きのバスか、停留所名、近くの目印になる店名、全て今いる場所に間違いない。
「息子がバス停のすぐ近くだと言うから、なんとか探します、大丈夫ですから」
と繰り返すが、ご夫婦とも重そうな荷物を抱えている。
都会の人の多さと電車乗り換えの難儀で「疲れてしまって」と繰り返す。
初めて行く場所は分からないことだらけに決まっている。不安と疲れが増大する。



もう私は爆発しそうになったね。息子は迎えに来ないのかって。
なんで来ないんだ、両親がはるばる熊本から出てきてるんだよ。
いくらご夫婦がスマホ使いこなせるからって密集した住宅地だ、同じような家が
並んでるんだ。駅までとまでは言わないからバス停から近いなら迎えに来たらどうだ、
造作もないだろうなんて、ね。あやうく、
「息子さんにお電話して迎えに来てもらったらどうでしょう」
と言いそうになったわ。よそ様の事情なのにね、息子さんはお勤めかもしれないのにね。

お二人をそのまま残しておくわけにはいかない。
せめてスマホ地図に入力した住所を見直して、なんて、ご主人スマホをのぞき込んでいたら
奥様のスマホに連絡が入った。息子さんが来てくれるって、その嬉しそうなお顔。
ああよかったわ。
息子さんよ、最初からそうしてあげればよかったのよ。そうすればご両親はすごく心強くて
安心してバス停で待っていられたのよ、なんて。
似たような豚児を持つ母としては、息子さんの気遣いのちょこっとの足りなさが歯がゆくて
ついつい余計なことを。
ご両親に自宅披露招待なんて心優しい息子さんに決まっている、と思うからあと一歩の
想像力と心遣いがほしいの。なんて、母の願望。

土曜日も日曜日も雨、お二人はどう過ごされたかしら。

 

 

コメント (2)
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