オリックス不動産が開発するのを京都市が認めたとある。( http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/soshiki/10-4-1-0-0_2.html )<o:p></o:p>
これによると、集客人数を規模と商圏人口の一次回帰式で求めているが疑念がある。単純に言えば、同じ商圏なら、規模だけで集客が決まるという理論だ。集客の動機となる施設の魅力度、つまりは展示の質としての作りこみ、展示水槽の容量(展示内容と相関がある:ショープールは別扱い)、展示動線の演出などの評価がない。<o:p></o:p>
20年以上前、コンサルタントとしてEconomic Reserch Associatesと協業で海遊館(当初は天保山ハーバービレッジと言っていた)の集客分析でもAttractivenesss(施設展示、独自性等の誘致力)、Tourist/Visitor(ターゲットと集客変動)、競合施設と連帯施設を見極めた上での商圏人口とリピート率、検証のための動線延長と観客数・滞在時間によるピーク集客数、利用料金と弾性率 を調査した。<o:p></o:p>
海遊館の200万人/年の集客は当時でも困難と考えられていた数字だ。達成しているおかげで今後のリニューアルやメンテナンスが行える。一方、今回の計画の集客は30年間で単純減少を見込んでいること(追加投資はない前提か)、施設がショープールで一回性が強いことなどから永続性に疑問がある。開発するからには、例え集客が想定外となっても施設運営・存続責任があると重ねて申し上げる。<o:p></o:p>
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展示もショープールが主体で、海獣やペンギンが多く目玉がなさそうだ。大水槽というのも深さが7m程度で700t(海遊館は5,400t )と小さい。展示ブロックA~Dは何を展示するのだろう。まさか汽車窓水槽ではあるまいな。展示動線延長も入口からプールまで約300m(図測)であり、海遊館の2,000mと大幅な差がある。メインのショープールも入替時間と滞在人数から考えてもイルカの疲れも考慮すると1時間に1回くらいのものではないだろうか。となると一日の処理人数や展示の面白さの想像もつこう。<o:p></o:p>
更に、展示が「Edutaiment」としているが、テーマがあまり京都と関係がない。いわゆる「シーワールド型」の水族館でありレジャー志向が強く立地も海浜に多い。最近の動線と展示に凝ったストーリーのあるパビリオン型構成でもない。自然を体験できるジンベイザメの泳ぐような大型水槽もない。<o:p></o:p>
しかも、ショープールは音楽やPAが必要で落ちついた公園の雰囲気がどうなるのだろう。公園とは緑と静謐な環境が良いのではなかろうか。近隣の住宅もあるし、学校の運動会でも近隣に配慮しているくらいだ。<o:p></o:p>
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観光の面から考えると、この水族館に立寄る観光客は京都の滞在時間を延長せず立寄るとする(というのも2時間くらいの滞在時間と推察される)場合、他の京都における観光施設の来訪減少が考えられる。現在、京都市では街中を歩いて楽しむ観光政策もあるのに箱物施設は逆行していないだろうか。梅小路公園周りで一日観光ルートの整備計画があれば水族館はマグネット施設として評価できるが。<o:p></o:p>
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再度書くが、( http://pub.ne.jp/n7ohshima/?entry_id=2617290 )水族館は繁殖や教育の側面があり、しっかりとした理念や展示の骨子が必要だ。また、何でショープールが京都駅の近くに必要なのか未だに良く分からない。むしろ岡崎の動物園に併設なら分かりやすい。例えば、葛西臨海水族園は上野動物園の分館が臨海部に移転したものだ。<o:p></o:p>
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展示の骨子、施設内容、開発効果、立地選択に様々な課題がある。<o:p></o:p>
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