徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

まさに至芸! ~ 舞踊「三輪の神杉」 ~

2012-11-17 17:24:59 | 音楽芸能
 Eテレ「にっぽんの芸能」で11月9日に放送(11月16日再放送)された「舞踊“三輪の神杉”」は、今年、編纂1300年を迎えた「古事記」にも記述された三輪山伝説を題材とした舞踊。この舞踊は人間国宝の藤間藤子さんが昭和27年に振り付けたもので、これを若柳吉優、花柳翫一、泉翔容の三人立ちによる早替りで八役をこなしていく。内容は面売りの三人が、客寄せのために三輪山伝説を演じるという劇中劇。
 三輪山伝説とは、美しい姫のもとに夜ごと男が訪ねる。男の素性を怪しんだ両親は、姫に糸を通した針を男の衣の裾に刺させ、翌朝その糸をたどると三輪山の神社まで続いていて、男の正体が蛇体であったというもの。
 一連の舞踊の中でも僕が絶品だと思ったのは、花柳翫一さんと泉翔容さんによる踊り。姫と男が逢瀬を楽しんでいる間の、姫の侍女と男の従者のやりとりを“おかめ”と“ひょっとこ”の面をつけたコミカルな踊りで表現している。番組解説の藤間蘭黄さんによれば「面をつけた踊りは素面の時よりも大きな動作で表現しなければならない」そうだ。地方の音曲の素晴らしさも合わせ、まさに至芸と言えるだろう。