徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

観能随想 ~出水神社薪能~

2017-08-06 19:36:45 | 音楽芸能
 昨夜は台風5号が熊本にも接近中というので、毎夏恒例の「出水神社薪能」見物も二の足を踏んだ。しかし、意外と風が強くならないのを見て思い切って出かけた。出発が遅れたので着いた時は、最後の能「嵐山」が始まる直前だった。やはり例年に比べると観客が少ない。芝生の上に敷かれたブルーシートにだいぶ隙間が目立つ。その分、来ているのは熱心な人が多いのか、集中度は高いように見えた。
 残念ながら、強風を警戒して「かがり火」は焚かれなかった。秋の「熊本城薪能」は重文に近いため、毎年「かがり火」は焚かれないので同じと思えばいいのだが、やっぱり風情に欠ける印象は免れない。
 この「嵐山」は初見。大和の吉野の桜(御神木)を、京の嵐山に移植したという伝説(実際は違うらしいが)にまつわるお話。前場はワキとワキツレに、前シテ・桜守りの翁と嫗が登場し、アイの末社の神が現れて舞ったり、後場になると、老夫婦が木守明神、勝手明神の二神に姿を変えて登場したかと思うと、最後に後シテの蔵王権現まで現れるという随分賑やかな能だ。話自体がそれほど盛り上がる話ではないのだが、登場人物が入れ代わり立ち代わりで飽きることはなかった。大鼓の白坂信行さんと小鼓の飯冨章宏さんの安定感はさすがだ。
 熊日の女性記者が取材に来ていた。さかんに写真を撮っていたので、どんな写真が使われるだろうと思って今朝の朝刊を見たら、前場の一場面が使われていた。どの場面を使うか難しかったろう。


橋掛かりに木守明神と勝手明神の夫婦が登場する後場の一場面