徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

翁プロジェクト熊本公演(続)

2021-03-18 23:15:20 | 伝統芸能
 先日、ざっくりとした観能記を書いたが、それを補足する意味で再度取り上げてみた。
 神さびた翁が天下泰平、国土安穏を祈念し、大人の風格(友枝昭世さんのオーラ?)を漂わせながら退場すると、次に登場するのが三番叟。この三番叟が実質的な主役ともいえる。今回演じるのは大蔵流狂言師の山本則重さん。大蔵流では「三番三」と書くらしい。実は野村萬斎さんの三番叟を映像で7~8回は見ているので、どう違うのかも興味があった。なかなか気迫もこもっているし、舞にも切れがある。近くの座席の能か狂言の経験者と思しき年配の女性が、「山本さんところはやっぱりしっかりしている…」と宣っているのを聞きながら、「へぇそうなんだ。」と思いながらも、萬斎さんと比べると緩急の付け方がちょっとな、なんて思ったりした。それでも見事な舞だった。ただ、残念だったのは囃子方。小鼓方の大倉源次郎さんが急に欠席となったが、そのせいでもあるまいとは思うのだが、楽しみにしていた「揉みの段」の独特のリズム感がいまいち乗らない。もう少しグルーブ感が高まるかと思ったのだが。なんだかんだ言っても初めてのナマ翁に十分満足した。