徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

坊っちゃんと「さのさ」

2023-08-11 22:45:03 | 音楽芸能
 街中に出勤する息子を車で送迎するので毎日「夏目漱石内坪井旧居」前を通る。この漱石旧居に最近、観光客用のシェアサイクルが置かれた。5台ほど置いてあるが結構利用されているようだ。
 この赤い自転車を見る度になぜか漱石の「坊っちゃん」の一節を思い出す。「うらなり」の送別会のシーンで、出席者の一人が

花月巻、白いリボンのハイカラ頭、乗るは自転車、弾くはヴァイオリン、
半可の英語でぺらぺらと、I am glad to see you


と唄って聞かせるシーンがある。これは明治時代後期に流行ったといわれる「さのさ」である。江戸後期に清(中国)から長崎の唐人屋敷に伝わった「九連環」という曲が各地に伝わり、即興的に歌詞や旋律をさまざまに変えて歌い継がれた中の一つが「さのさ」で、「坊っちゃん」に登場した英語混じりの歌詞もあったそうだ。もうしばらくは漱石内坪井旧居の前を通る日々が続くので、その度に「さのさ」のメロディが頭に浮かぶことになるだろう。