徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「高島節」異聞

2023-08-29 17:28:45 | 音楽芸能
 水野詩都子&﨑秀五郎コンビによる「しずごろう民謡わがままチャンネル」に新たにアップされた曲は長崎県民謡「高島節」。かつて長崎の離島炭鉱として栄えた島の民謡です。明治2年、佐賀藩とスコットランド人のグラバーとの共同出資で採掘が始まり、昭和61年に閉山するまで118年の長きにわたり日本の近代化に貢献し続けました。開業当初から炭鉱就労者の間で歌われていたといわれるのがこの「高島節」です。

 この「高島節」は民謡番組で紹介されることもありましたが、じっくり聴いたのはこの「しずごろうチャンネル」が初めてです。聴きながら、どこかで聴いたことがあるなぁという思いが湧いてきました。記憶の糸を手繰り寄せていくと「アッ!これは火の国育ちだッ!」と気が付きました。「火の国育ち」というのは昭和9年に作詞:野口雨情、作曲:大村能章という「五十四万石」の名コンビで作られた新民謡です。この年に伊藤久男の歌唱でレコードが発売されています。伊藤久男は「イヨマンテの夜」で知られた昭和時代の名歌手ですが、3年前のNHK朝ドラ「エール」で山崎育三郎が演じた「佐藤久志」なる人物のモデルが伊藤久男だったことが記憶に新しいと思います。
 「火の国育ち」はそれほどヒットしませんでしたが、元唄が「高島節」であった可能性は高いと思います。今の時代ならすぐに「パクリ」とか言ってSNSで話題になったかもしれませんが、大らかな時代だったのでしょうね。