関とおるの鶴岡・山形県政通信

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高野孟氏のお話を聞きました~県市議会議員研修会~

2007年08月08日 | 活動報告

 8日(水)、山形市のビッグウイングでおこなわれた山形県市議会議長会主催の研修会(県内13市の市議会議員が対象)に参加し、ジャーナリストの高野孟氏(「インサイダー」編集長、「サンデープロジェクト」のコメンテーターとして知られています)の講演を聞いてきました。
 お話しの内容は概略以下のようなものでした。(言い回しなど若干違うところもあるかも知れません。文責は私にあります)。



 安倍政権の参院選敗北の要因
 1)自民党そのものの「賞味期限切れ」
  ☆小泉内閣の登場自体がマジックであり、「最後の切り札」であった。本来は総裁になれる訳も無い人・奇人変人が、「自民党をぶっ壊す」と禁じ手を使い、「抵抗勢力」との戦いを演出して政権を運営した。その時点で、「もう一枚」は無いことはわかっていた。
  ☆安倍政権が満場一致で誕生したのは、自民党の無気力状態から。求心力は最初から無かった。しかも、郵政民営化反対勢力を復党させて、古い自民党の姿を見せた。
  ☆自民党が第一党の座を譲るのは55年以来、自民党低落が一段と進んだ。
 
 2)自民党の支持基盤が崩れ、自公協力でも支えられない限界に達した。
  ☆特定郵便局長会、医師会、農協など、全国的な支持基盤が、小泉改革で崩れた。これまでは、一小選挙区で2~3万票と言われる公明党の協力で辛うじて議席を維持してきたが、逆風と投票率上昇で効果が無くなった。
  ☆公明党が13人の現職の内4人を落としたのは象徴的。これまで自民党の協力によって「中政党」の立場を守ってきたが、その効果が無くなれば小政党に転落する。
  ☆小選挙区制は、二大政党に票が集まる仕組み。

 3)安倍首相本人のキャラクター
  ☆決断力が無く、何の問題でも、中々決められなくてグズグズして、最後にバタバタする。「グズグズ、バタバタ」を繰り返してきた。
  ☆首相候補として売り出した北朝鮮問題でも、外交というものがわかっていないことを明らかにした。拉致被害者を一時帰国のまま「帰さない」という判断は、政治家がやるべきことではない。今、日本は六カ国協議の枠組みができ、北朝鮮の核問題というアメリカにとっての深刻な問題の解決が図られようとしている時に、「拉致、拉致」と主張するだけでお荷物になっている。元々北朝鮮が拉致問題で謝罪してきたのは、北の資源開発への日本の協力を求めて来た。それにも応えられなかった。
  ☆結局、安倍晋三という政治家は底が浅い、「一重底」だ。年金も、政治と金も、続投宣言も皆そう。開票結果が確定しない内に続投宣言をしたことで、政権にしがみつく人として回復しがたいイメージダウンを受けた。

 今後の見通しは、
  ☆安倍退陣論も公然と主張されているが、派閥会長クラスは「内閣改造を見てから」。今、辞められても後が困る。安倍政権の流れに乗っていない福田も有力。
   ともかく辞めるタイミングを逃したので、行くところまで言って倒れる=玉砕で行くしか無い。
  ☆今後、民主党は参議院に法案を出して攻めてくる。自民党は受け身になる。衆議院を通過させても参議院で棚晒しすることもできる。安倍政権は最長でも来年6月まで一年間。
  ☆解散総選挙となった時、公明党がどうするか(自民党についたままかどうか)計算できない。
  ☆これからは、二大政党がビジョンを打ち出し、国民の前で代表同士が何時間も討論する時代。
  ☆国内政策の大きな柱は地方分権
   例えば、PHP研究所が出した「日本再編計画」では、「自治体を272に、中央省庁を5つに、国家公務員5割削減、税収の8割を自治体に」と打ち出した。
  ☆二大政党による政権交代で政治は良くなる。


  私の感想は、
  1)安倍・自公政権敗北の要因については、ほとんど賛成。
  2)「二大政党による政権交代で政治が良くなっていく」という主張には反対。従って、自民・民主・公明の動きによる今後の予測には、あまり意味は無し。


   参議院選挙で自公に歴史的大敗を味あわせた国民の審判は、大きく評価しますが、この先、日米軍事同盟中心の改憲路線、財界中心の社会保障解体・増税路線、こういう政治の大本を変えないでの政権交代があっても、政治は良くならないことも見通せます。
   私自身の選挙の取り組みの感想としても、「民主党ではダメなのはわかっているが、今回は民主に」「共産党の主張は賛成、だが今回はごめんしてくれ」という声を沢山頂きましたので、多くの国民もその辺はわかっているのではないかと感じました。

   それにしても、参加者の大半を占める保守系議員の皆さんにとっては、頭から冷水を浴びせられるような気持ちだったかと思います。「何であんなヤツ呼んだ!」とお怒りになったか、それとも、「勉強になった」と受け止められたか、顔色をうかがってしまいました。