関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

不戦の誓い~終戦記念日にあたって~

2007年08月16日 | 平和と民主主義・外交

 今日は、62回目の終戦記念日、毎年恒例の街頭宣伝をおこないました。
 訴えたことは以下のようなものです。

 日本の侵略戦争によって、二千万人と言われるアジアの人々の命を奪い、日本国民自身も310万人が命を落としました。県内でも20万人が戦争に動員され、内33000人が戦死しました。
 女性、子ども、お年寄りも、食料から衣料、燃料、日用雑貨に至るまで配給制の非常に厳しい窮乏生活を強いられたと言
います。
 その悲惨な体験をしっかりと受け継ぐこと、過ちを過ちとして直視することが、再び同じ間違いを犯さないために必要なことです。
 今日、多くの市民がそのことを誓い合う日となることを心から願います。

 昨年発足した安倍内閣は、「戦後レジームからの脱却」をスローガンに、教基法改悪とそれに続く教育関連三法改悪、憲法改悪のための手続き法、防衛省法などなどの悪法を、手法の面でも数の力で強行に継ぐ強行という最悪のやり方で進めてきました。
 戦後レジームからの脱却とは、憲法九条を放棄し、世界中でアメリカと一緒に戦争ができる国にすること、憲法に基づいて拡大してきた国民の権利を否定し、社会保障解体と庶民増税、大企業の飽くなき利潤追求を最優先にする経済・社会体制づくり=戦後築かれてきた平和と民主主義のレジーム(枠組み)を覆すことに他なりません。
 
 こういう政治に厳しい審判が下ったのが先の参議院選挙でした。
 安倍首相は、「基本路線は国民の理解を得ている」などと強弁して政権に居座っていますが、この市政に「納得できない」国民が74%、「戦後レジームからの脱却に共感できない」が51%、「憲法改正に共感できない」が62%です。今や、国民の声がまったくわからない「KY内閣」とさえ言われています。

 自衛隊の海外派兵に賛成する方は、「国際貢献が必要だ」と考える方が多いようです。
 自分の国のことだけではなく、世界の平和と安定に貢献していくことは実に大事なことであり、国際貢献の必要性を理解する見識には私は大いに敬意を表します。
 しかし、自衛隊の派兵が世界の人々のお役に立つのかということを考えなければなりません。
 イラクに派兵された自衛隊の活動には、昨年陸上自衛隊が撤収するまでで約743億円の税金が使われたとされますが、当初の目的と言われていた「人道復興支援」(道路や橋をつくるとか、医療とか)に使われたお金はわずか4%で、後は「駐留経費」=「自衛隊が居る」ことに費やされたといいます。(朝日新聞)
 現在残されている航空自衛隊の仕事は、米軍の兵隊や武器・弾薬を輸送することです。「武装勢力掃討」などと言いながら、「動くものすべてに発砲する」と言われる米侵略軍の住民虐殺を直接支えているのです。
 政府・与党などが主張する「国際貢献」の実態はこういうものなのです。

 「国際貢献」というものを考えた時に私は、ある日本人医師のことを思い浮かべます。
 アフガニスタンで20年以上に渡って、医療活動にとどまらない、巨大な住民支援活動をおこなってきた中村哲という先生です。
 この方は、1984年にある縁でアフガニスタンに派遣されたことをきっかけに、医療活動を開始し、今では1つの病院と4つの診療所で年間15万人の診療をおこなうのみならず、現地の人々とともに一千を超える井戸を掘って25万人に水を提供、現在は農村社会の自立をめざして灌漑等も含む包括的なプロジェクトを推進していると言います。
 この先生と、共に活動するペシャワール会という団体は、03年には「アジアのノーベル賞」と言われるマグサイサイ賞をも受賞しました。
 受賞理由の中では、「政治、宗教、民族を 越えた相互依存を実践」「人類にとってこれこそが平和への鍵だと中村医師は信じている。」とされ、現地の人々のみならず、アフガンの時々の支配勢力からも厚い信頼を得ていることが述べられています。(以上、ペシャワール会のHPを参照しました)

 アメリカによるアフガン攻撃がおこなわれるまで、ほとんどの日本人が場所も知らなかった遙かな地で、数十万に及ぶ現地の人々の命を守るために身を粉にして活動し、日本人として大きな信頼をも得てきたこの方々の活動には、「国際貢献」などという在り来たりの言葉で表現することすら申し訳なく思われるほどです。
 「国際貢献」と言えば、アメリカに言われたこと、近年では軍事的なことばかりを持ち出して来る政府・与党は、恐らくはもっと存在するであろう、心ある日本人の国際的活動を刮目して見るべきです

 平和の問題では、市政も問われています。
 鶴岡市は、平和都市宣言を上げている市として毎年夏の時期におこなってきた平和都市宣言事業のわずか百万円の予算を「行政改革」などと言って廃止してしまいました。それも戦後60年の節目の年にです。
 また議会でも、今年6月に市民から提出された「『従軍慰安婦』問題の真の解決を求める請願」が、新政、黎明公明の反対によって不採択にされています。
 平和の問題について、市民の願いがどこにあるのか、もっともっと明確にしていかなければなりません。

 鶴岡でも急速に国際化が進む中で、アジアを始めとする世界の人々と共に考え・働くことのできる人間を育てていくことが求められています。
 そういう未来を考えた時にも、戦争と平和の問題でも真実を伝えていくことの大切さが強く実感されます。私もこれからもそのことのために頑張って行きたい、今日は決意を新たにしました。

 
 大体以上のような趣旨ですが、頭の中では整理しているのですが、いざ街頭で話すとなると、あっちに飛んだり、こっちを落としたり、書いているほど立派なものにはなりません。
 しかし、精一杯心を込めて訴えました。外に出るのも憚られるような日にネクタイつけて日なたでやる訳ですので、汗ダラダラで、温和しい方なら「何事か」とギョッとされたかも知れませんが、耳を傾けてくれ、笑顔で会釈して下さる方も沢山あって、手応えのある街頭宣伝でした。
 夜のビールも殊更旨いものとなりました。(最近この絵が多いです)